ユーザログイン |
「帰無仮説を採択」?「アメリカ心理学会では統計的有意度は廃止されたそうです」で紹介した Statistical methods in psychology journals: Guidelines and explanations の Hypothesis tests の項には Never use the unfortunate expression “Accept the null hypothesis.” とイタリック体で強調して書かれている。帰無仮説は棄却することはあっても「採択」してはいけないという注意は英語の文献ではしょっちゅう見かける。実際,Googleで "accept the null hypothesis" を検索すると,同様な注意がたくさん見つかる。 ところが,同じGoogleでも日本語で "帰無仮説を採択" を検索すると,著名な人でもこの表現を普通に使っていることがわかる。どうしてだろう。 手許にあるFisherの The Design of Experiments 第8版の 8. The Null Hypothesis を読み直してみた。
用語は今と少し違うけれども,棄却することはあっても採択はしないとはっきり書かれている。 このあたりのことを詳しく書くとたいへんなので,あとは良い教科書やGoogleで調べていただきたい。 オフトピ:英語の中に全角のダブルクォートを使っているように見える場合はアポストロフィの悩みを参照されたい。
|
検索最近のコメント
|
かねてから自分も感じていたことを先生が書いてくださっており
かねてから自分も感じていたことを先生が書いてくださっており、それでいいのだ」と安心いたしました。
分散分析に先立って、等分散性を仮定してよいかどうか判断するために検定を行なうことがありますよね。
この際、帰無仮説として「分散が等しい」という仮説を置き、棄却されなかった場合に限り次のステップに進みます。
この場合でも、等分散性が積極的に肯定されたわけではないと思うのですが、多くの教科書で「分散が等しいという仮説を採択する」と書かれています。
先生ならこの局面をどう記述なさるでしょうか?
分散が等しいという仮説を採択する
そもそもそのような2段階の検定はよろしくないという立場です。
2段階の検定はよろしくない
お返事ありがとうございます。そちらのエントリを読み、理解いたしました。
共分散解析などでも、回帰係数の等質性を先に見るような局面で同様の問題が生じますが、こちらに関しても「そもそもよろしくない」という理解で良さそうですね。
たいへん勉強になりました。ありがとうございます。