折れ線グラフもゼロから描かなければならないと教えられている?

ユーレイ棒グラフ?によしだはじめ先生が貴重なコメントをくださったので,改めてグラフの書き方がどのように教えられているかを調べ始めている。まず見つかったのが,東京都統計協会・グラフコンクール・グラフのしくみ。折れ線グラフまでゼロを省略してはならないとしている:

<折れ線グラフを作る上での注意点>

・0の基線を必ず引きましょう。目盛りの基点は必ず0にします。20とか300とかに変えてはいけません。
……
・必要に応じて波線を入れて途中の目盛りを省くのは、オーケーです。

例として温度変化の折れ線グラフを二つ挙げているが,いずれも(摂氏)0度から書かれている。負の温度になったらどうするのだろう。

折れ線グラフで表すものは間隔尺度でよい。意味のある0点がなくてよいし,0点から書き始める必要はない。これに対して,棒グラフは比率尺度(比例尺度)だという強いメッセージを持っている。だから雨量を棒グラフで表してもおかしくないが,気温を棒グラフで表すとおかしく感じる。

小学校にマイナスはないので

小学校には制約があります.小学校の教科書で気温のグラフの例として取り上げられる都市は東京,那覇などで,札幌,新潟などは使われません.それは,マイナスの気温が出てくるから.小学校では負の数は扱わないので,教科書には書けない.ですが,北海道の先生にきくと,子どもたちが気温調べをするときには当然マイナス何度を使っている.

そういうわけで,小学校では温度が間隔尺度という認識はないのでは.第一,大多数の小学校の教師は尺度の違いについて学んでいないでしょう.

統計グラフコンクールの規則も小学生を基準に書いているので,規制強化のようになるのでしょう.でも,手元にある「東京都統計グラフコンクール入賞作品」を見ると,棒グラフの波線省略には入賞例があります.なかには中高生の手描きの3D円グラフ作品があるのですが,目盛り(区分け)をどうやったのか気になります.

Re: 小学校にマイナスはないので

よしだ先生,目から鱗のコメント,ありがとうございます。なるほど。たぶん小学生にとっては,20℃は10℃の2倍なんでしょうね。しかし中高生も応募するサイトにこれじゃ,ちょっと悲しくなります。

全国統計協会連合会

東京都以外にも統計協会があってグラフコンクールをしていて,同じようなグラフのルールが書かれていることに気づきました。きっとこの元となるルールを作ったところがあるはずだと探したら,財団法人全国統計協会連合会というところがそのようです。でもこのサイトはかなりひどくて,ほとんど情報がありません(あるいは見つかりません)。

ゼロ点がありえない折れ線グラフ

もちろん対数目盛りはゼロ点がありませんが,小学生でもわかる例がないかと思っていたら,ちょうど今日の日経新聞に出ていました。縦軸は順位です。

波線グラフです。

http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY201002050616.html

縦軸省略ありません。0から始まっています。ということは、これって、すごい落ち込みだということをあらわしています。

でも、「どうせチャートジャンクだろ」と先入観で見てしまっている人が多いんじゃないだろうかと。チャートジャンクが跋扈したことによる1層上の弊害かもしれません。

Re: 波線グラフです。

ほんとですね。これこそ棒グラフで描けば,縦軸が比例尺度であることがわかって,パンチも強烈になったかもしれませんね。

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