おそらく日本語の LaTeX ユーザのほとんどの方が、pLaTeX または upLaTeX を使っていらっしゃると
思いますので、念のためここで告知します。
今年 5 月以降に W32TeX や TeX Live 2016 pretest をインストールまたは更新なさった方は
もしかするとお気づきかもしれませんが、pLaTeX が新しいものに置き換わっています。
これは従来のアスキー・メディアワークスによる pLaTeX に対して「日本語 TeX 開発コミュニティ」が
変更を加えたものです。以下、これを「コミュニティ版」と呼びます。pLaTeX を置き換えたのに合わせ、
upLaTeX もこの「コミュニティ版」ベースのものになりました。今後、少なくとも TeX Live と
W32TeX では、元のものではなく「コミュニティ版」が配布されるだろうと思います。
# TeX Live 2016 はあと数日でリリースされるのではないかと思います。
変更内容については、添付の PDF ファイル (plnewsc01.pdf) を参照してください。
ほとんどは既に TeX QA や本 TeX Forum で指摘されていたバグの修正です。
コミュニティ版の発端は「和文文字と脚注番号の間のアキ (forum:1783)」で、
「multicolsとtombowのバグ (forum:1818)」でも若干話題に上ったとおり、
開発中のバージョンは GitHub のリポジトリにあります。
https://github.com/texjporg/platex/
https://github.com/texjporg/uplatex/
なるべく QA や Forum から過去の皆様のご指摘を拾ったつもりではありますが、約 10 年分のギャップを
今回の「コミュニティ版」(2016/05/07) だけでは拾いきれていないと思います。
何か pLaTeX の組版でおかしいと思っていらっしゃったところ(もしくは今回の版で副作用が生じたなど)
がありましたら、この Forum に投稿いただくか、直接 GitHub Issue の議論にご参加ください。
たとえば、保留中の plext の挙動 (forum:1355) についてもご意見等あればどうぞ。
ほとんどはバグ修正ですが、意図的にマクロを変えた(バグかどうかは意見が分かれる)部分も
あります。そのひとつが \underline です。下線を使うべきでないなど流儀の観点はさておき
「改訂第6版 LaTeX2e 美文書作成入門」の以下の記述
> アンダーラインはタイプライター時代の遺物であり推奨しないというのが TeX での立場です。
> そのためもあって,TeX の \underline はごく単純な作りになっていて(中略)さらに両側には
> \xkanjiskip が入ってしまいます。
この \xkanjiskip を、新しい pLaTeX では抑制してあります。もし下線前後にアキが入る前提で
文章を書いていた方がいらっしゃったならご注意ください。
あります。そのひとつが \underline です。下線を使うべきでないなど流儀の観点はさておき
「改訂第6版 LaTeX2e 美文書作成入門」の以下の記述
> アンダーラインはタイプライター時代の遺物であり推奨しないというのが TeX での立場です。
> そのためもあって,TeX の \underline はごく単純な作りになっていて(中略)さらに両側には
> \xkanjiskip が入ってしまいます。
この \xkanjiskip を、新しい pLaTeX では抑制してあります。もし下線前後にアキが入る前提で
文章を書いていた方がいらっしゃったならご注意ください。
コミュニティ版 pLaTeX と upLaTeX を更新しました。それぞれ
pLaTeX2e <2016/06/10> と pLaTeX2e <2016/06/10u01>
となります。forum:1941 で報告されているアクセント付き文字のバグに関する重要な修正が入っています。
TeX Live には 3 時間ほど前にインストールされましたので、明日か明後日には日本のミラーに来ると思います。
pLaTeX の変更点は添付の plnewsc02.pdf が詳しいです。
8-bit Latin の欧文文字 128--255 に \xspcode=3 を設定する措置も今回入れましたので、\xkanjiskip が
正しく入るようになったと思います(これは jsclasses や upLaTeX からの import です)。
upLaTeX が u00 → u01 になったのは、pLaTeX 2.09 互換モードを抑制したという些細な変更です。
pLaTeX2e <2016/06/10> と pLaTeX2e <2016/06/10u01>
となります。forum:1941 で報告されているアクセント付き文字のバグに関する重要な修正が入っています。
TeX Live には 3 時間ほど前にインストールされましたので、明日か明後日には日本のミラーに来ると思います。
pLaTeX の変更点は添付の plnewsc02.pdf が詳しいです。
8-bit Latin の欧文文字 128--255 に \xspcode=3 を設定する措置も今回入れましたので、\xkanjiskip が
正しく入るようになったと思います(これは jsclasses や upLaTeX からの import です)。
upLaTeX が u00 → u01 になったのは、pLaTeX 2.09 互換モードを抑制したという些細な変更です。
forum:1951 の修正が入った pLaTeX <2016/06/10>+1 と upLaTeX <2016/06/10u01>+1 が
TeX Live に入りました。(+1 は “patch level 1”)
TeX Live に入りました。(+1 は “patch level 1”)