ネット調査は世論調査ではない

27・28日の共同通信社の世論調査によれば,民主党代表になってほしい人は菅直人69.9%,小沢一郎15.6%。特に民主支持層では菅82.0%。

ところが,スポニチのネット調査では,1336/1676≒80%が小沢一郎。スポニチは

テレビなどは、小沢氏の「政治とカネ」問題を再び繰り返し伝えるなど“反小沢”報道も目立つが、有権者の反応はやや違っていた。

と総括するが,ネット調査の結果は「有権者の反応」ではまったくない。

以前ニコニコ動画「ネット出口調査」で自民圧勝のはずの衆議院総選挙で民主が勝った例もあった。ネット調査の偏りの例。

[2010-08-30追記] 他の世論調査:
毎日 78% 17%
読売 67% 14%
フジ 63% 16.6%
日経 73% 17%

普通の世論調査でも、問いの前に 「小沢前幹事長は金にまつわ

普通の世論調査でも、問いの前に

「小沢前幹事長は金にまつわる話が解決したとは言えません」

とか

「菅総理は参議院選挙中に消費税の話を持ち出したために惨敗、しかもその責任を取ったとは言えません」

といった文言を入れるんですよね。そうやって誘導するから普通の世論調査も信用しにくい部分はあります。

ソースをお願い

共同通信社の世論調査の文言はどこに載っているのでしょうか。

街頭調査も電話調査も

「声をかけた人の数」「電話をした人の数」を標本数にしないとダメですね。
「答えてくれた人の数」を標本数にしている調査をときどき見かけます。

標本数?

あなたの言っている標本数というのは,回答者の分母のこと?
「標本数」という学術用語(統計分野)は全く別のことを意味しますよ。
声を掛けたうち,答えてくれた人の数を,統計学用語では「標本の大きさ」といいます。声を掛けた人の数に対して答えてくれた人の割合が「回答率」,答えてくれたけど何を言っているのかよくわからなかったとか言うのを除いて,集計対象になる回答者の割合が「有効回答率」。
批判するときにも,ちゃんと統計的概念で表現しましょう。

各社の調査結果

各社が,独自のシステムとはいえ,RDDによる世論調査を行っているのに,朝・毎と読・産の結果が大きく異なるのはなぜだろうか(各社が,自分の読者からRDDやっているならともかく。ランダムサンプルしたら,いつも同じ偏りのある結果が得られるはずないと思うんだけど?)。やはり,情報(集計)操作しているんだろうか。

Re: 各社の調査結果

一般論ですが、質問の文言や、あいまいな回答への再質問といったところが違うようです。

「答えてくれた人」の傾向が異なるということはないでしょうか

「答えてくれた人」の傾向が異なるということはないでしょうか。「お前んとこの新聞には協力してやらん」みたいな。

それもあるかも

それもあるかもしれませんね。
ただ戦略としてはまずいのでむしろ逆にちゃんと答えるでしょうね、私なら。

評論家上杉氏の雑誌記事

最近、週刊誌を中心に記事を書いている、政治評論家の上杉氏の記事で、大マスコミの世論調査では「首相にふさわしい人」をたずねるときに、話の「枕」として「政治と金」の話題などを入れて、誘導している、というような文章がありました。どこの週刊誌だか忘れてしまいましたが、ごく最近の記事です。驚いて、大新聞をいくつか確認してみたのですが、どれも、そのような誘導的な質問文にはなっていませんでした。あえて言えば、現職の首相が菅さんであることを再認識させるような内閣支持の質問が前に来ていることは気になりますが、「政治と金」うんぬんの誘導は見つかりませんでした。それでも結果は、菅氏の支持率が上でした。上杉氏の記事は、それに続けてネット調査での小沢支持の高さを訴えていますが、Okumura先生の言うようなネット調査の偏りについてはほとんどふれていません。検察や大マスコミの小沢さんの追及の仕方には、上杉さん同様、疑問を感じている私ではありますが、上のような記事を書くには、質問文を根拠としてあげる必要があると思いました。

Re: 評論家上杉氏の雑誌記事

どうもありがとうございます。
不確かな情報をもとに自説を展開する評論家が多くてうんざりしますね。

インターネット調査は社会調査に利用できるか

表題の通りの報告書があります。事業仕分で毎回潰されそうになってる JILPTで行われた研究です。インターネット調査と従来型調査をパラに行って結果を比較したという興味深い研究なので、インターネット調査を仕事で使う予定のある方は是非ご一読を。

http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/017.html

から全文がダウンロードできます。

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