またもや相関関係と因果関係が混同されている

幼稚園出身の子の正答率、高い傾向 全国学力調査(朝日),学力テスト:正答率、保育所より幼稚園? 関係者に戸惑い(毎日),憂楽帳:保育園?幼稚園?(毎日),幼稚園出身が学テ好成績の傾向 データ取り扱いに波紋も(47NEWS),保育所に通った子どもより幼稚園に通った子どものほうが小6,中3ともに正答率が高い。

記事の中では家庭環境や家計などの要因を示唆していても,題名から受ける印象は異なる。特に毎日の憂楽帳は,「今回の結果に戸惑い、納得できないという人は少なくないはずだ。では、どうすればいいのか。早く答えを見つけないと。しわ寄せを受けるのは、子どもたちなのだから」と締めくくっており,誤解を煽っているようにも聞こえる。

元データを探したら,国立教育政策研究所の「平成22年度 全国学力・学習状況調査 結果概要・集計結果」についてというページの最初のPDFのp.18にあった。基線が0でない棒グラフだ。

この新聞記事は大事な情報を意図的に隠している。

記事が恣意的なのは当然のことですが、最近のは底が浅いですね。

・常に10ポイント以上低い「どちらにも通っていなかった」子供
 の方がよっぽど問題なのではないでしょうか?

(小学生)幼稚園・保育園・どちらも通ってない
国語  85.4 82.1 70.5
国語B 80.7 75.9 63.2
算数A 76.8 72.1 62.3
算数B 52.1 47.1 38.2
(中学生)
国語A 77.8 74.5 67.1
国語B 88.7 84.3 56.8
数学A 68.9 63.0 54.5
数学B 48.1 41.8 33.8

 

最大の問題は,

最大の問題は,0が隠されていることでも,どちらにも通っていない群について記述がないことでもない。
3つの群の特徴が平均値だけで云々されていることではないか?平均値が違うことはわかったけど,その平均値の違いというのはどれくらいの意味を持つのかと言うことは,それぞれの群の平均値と共に標準偏差なりが表示されていないと評価のしようがないと言うこと。
もっとも,もとの得点がそもそも正規分布に従わないのなら,平均値や標準偏差について記述があっても何の意味もないのだが。また,殆ど全数調査なんだから,標準偏差の違いを評価しても平均値に差があると言うことになるのだけど,次に問題にすべきは,その平均値の違いというのがどの程度の実質的意味を持つのかということ。
もっともっと問題点を掘り下げていくと,幼稚園,保育所に通ったあるいはいずれにも通わなかったというのが直接の原因たり得るかと言うこと。経済的要因それを規定するであろう両親の学歴・収入など教育環境をちゃんと調べていないのだから同ともいえないのじゃないかどちらにも通わせないで英才教育をしていた(そしてそれが成功していた)家庭もあるんじゃないか(あったとしても少数だろうから,平均値にはなんの影響も与えないかも知れないし?)。
このような問題を解明するに当たっては,荒っぽい全数調査などというのは適切じゃないんじゃないか?

なぜなぜ5回

「またもや相関関係と因果関係が混同されている」という表題のとおりで、因果関係があるようにあおっているだけです。
 本来なら、なぜなぜ5回くらいの「予想原因」くらいは一緒に「大本営発表」してもらいたいところです。これでは『保育園という文科省が管轄できないところに子どもを預けては将来の「テスト」で成績を低くつけますよ』という恫喝目的の記事にも読めます。
 あ、そうか。そういう分析のために天下り団体に「調査費用」を予算化しようということかもしれないですね!(^^)!
 

Re: なぜなぜ5回

中学生の判断力

毎日新聞のリンク先に、
http://mainichi.jp/life/edu/news/20100731k0000m040078000c.html
が、ありました。
これからすると、半数の中学生は記事は客観的に書かれていないってことを理解されているようですね。

Re:なぜなぜ5回

客観説TQMのなぜなぜのページ面白いですよ。

http://www.geocities.jp/takaro_u/

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