数学は遺伝より環境

今日のNHK総合19:30-20:43「ふたごの不思議に学べ!~老化予防から子育てまで~」,一卵性双生児でも片方だけ老いが早いことがある。煙草・日焼け・ストレスの影響だという。

東京大学教育学部附属中等教育学校には双生児枠がある。ここでの研究によれば,一卵性双生児どうしで相関が高いのは短距離走,低いのは持久走。教科では数学が最も相関が低いという。浅香昭雄氏のふたご研究論文参照。

この研究の対象になった双生児は同じ家庭で育ったのでないでし

この研究の対象になった双生児は同じ家庭で育ったのでないでしょうか。だとすれば「数学は遺伝より環境」とは簡単に言えないと思います。一卵性双生児のepigeneticな修飾も含めた遺伝情報は完全に同一ではなく、加齢とともに違いが広がっていきます。このため、全く違う環境で育った双生児対の比較ならともかく、そうでなければ表現形の違いが環境のせいなのか遺伝のせいなのか判別するのは容易ではないと思います。

http://multiples.about.com/od/funfacts/a/differenttwins.htm
http://www.pnas.org/content/102/30/10413.full

reared together

この場合,数学が「遺伝」<「環境」(遺伝以外)という意味ではなく,他の教科との比較の話ですね。誤解を与えて申し訳ありません。

ふたごの学業成績:「数学の学業成績が最も環境の影響をうけやすいことを示唆している」。

あるいはペア間の相関係数の2乗が0.5より小さいという意味で「遺伝」<「環境」(遺伝以外)と言う人があるかもしれませんが。

数学の点数のペア間の相関が他教科と比べて低いことは,もしかしたら部分的に,数学のテストの信頼性(reliability,数学のテストがいいかげんだという意味ではない)で説明できるかもしれないとも思いました。他教科は同じ人が同じように準備した場合の結果が予測しやすいのですが,数学は同じように準備して試験に臨んでもどういうわけかその日はうまく解けなかった,後で考えれば簡単だった,というようなことが他教科より多いのかもしれません。

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