PubMed Central で別のことを調べていてたまたま Atomic Bomb Health Benefits という論文を発見した。日本で原爆の放射線を少量被爆被曝した人はより健康になったという内容。International Dose-Response Society というところのジャーナルで,この学会はそういう目的で作られたようだ。トンデモだろうか。
[2009-01-05追記] 被曝を被爆と書いてしまっていたのを直しました。上記効果は放射線ホルミシスといって,トンデモではないけれどもニュアンスは微妙ということのようです。いただいたコメントをご覧ください。
東京電力の研究所の方が書いた論文では少し内容が違いますが、大量被爆の前に少し被爆させておいた方が生き残る確率が高くなるという論文を書いていたように記憶しています。その方の論文では「だから、少しくらい被爆させても大丈夫」という主張だったように記憶しています。
情報ありがとうございます。件の論文にも日本人の文献が挙げてあり,日本でもこういう研究?がされているのだろうと思います。
ホルミシス効果は応用できるほど確立されたものではないようですが、現象そのものはかなり古くから知られているもののようですね。 とあるギャグマンガでネタにしているのを見たことがあります。
10年前の書籍で申し訳ないのですが(↓) http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062572389/ などに、情報が載っていました。 「放射線ホルミシス効果」という名で、ラジウム温泉が健康によいことの論拠となっていたように思いますが・・・書籍が手元にないので、ちょっとあやふやです。
ラジウム温泉やラドン温泉なんてありますよね。 昔から気になってるところです。
ホルミシス効果という名前もあるんですね。 ちょっとエセ色多し。
皆様,情報ありがとうございます。
近藤宗平『人は放射線になぜ弱いか』,これって件の論文で引用されている S. Kondo ですね!
Kondo S. 1993. Health Effects of Low Level Radiation. Kinki Univ. Press, Osaka.
アマゾンのお薦めに同種の本がたくさん出てきました。こういった主張は非常に多いのですね。
鳥取の三朝温泉は世界有数のラジウム泉として有名ですが,あの地域の人の平均寿命は他の地域よりも長いと聞いたことがあります。 *僕は裏付けを取っていない *他の生活・文化要素も大きいと考えられる ので,一概には何とも言えませんが,被曝を続けていてもがんが多発していないのは事実のようです。
これはあさりよしとおさんの HAL - はいぱあ あかでみっく らぼ ですね。 参考 http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/6130/himituseries/mansci/hal....
“radiation longevity” で検索したら,たくさん出てきました。オープンアクセスな短いレビューを一つ挙げておきます: J. R. Cameron, Moderate dose rate ionizing radiation increases longevity, British Journal of Radiology, 78, 11-13 (2005) とそれを引用している4編。
原爆で難病が治った人が1コマ出てきました。 運が良ければがん細胞が死ぬとかするのかもしれません。
「低線量放射線の発がんリスクに関連する報道について」 http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/trend/20050722/index.html というのを見つけました。部外者なのでよくわかりませんが、このページから辿れる「当センターにおける研究成果」(当センター=放射線安全研究センター)で多数の報告書が列挙されていることから、おそらく東京電力でもここの研究成果を参照しているものと思われます。...と思ったら、報告書のリンクがことごとくNot Found...。
研究所ページの右上のGoogle窓に「低線量」などキーワードを入れると、正しいPDFのありかが検索されました。
ありがとうございます。URLの /leaflet/rep_list/pdf/ を /report/leaflet/ に置き換えればいいのですね。 健康増進・長寿のために原発を誘致しようという動きになるでしょうか。 しかしこの研究所名CRIEPIはcreepyと読ませるのでしょうか。恐ろしそうな名前です。
元論文に当たっているわけではないのですが、昨夏の新聞報道で、極低線量でもリスクが高まっているかもしれないという研究結果が報道されておりました。 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080805-OYT8T00231.htm
拙ブログでも以前取り上げましたが、 http://ameblo.jp/fireflysquid/entry-10125566708.html どうも、過去の解析では極低線量被爆者を非被爆者群に分類していた、つまり非被爆(被曝)の基準の取り方がまずかった、という主張のようです。
詳細を見ておりませんのでなんとも言えないのですが、もしこれを信じるのであれば、ホルミシス効果で原発誘致というのは困ったものです(効果がはっきりしない状態で、あたかも効果があるように言うこと自体が問題ではありますが)。
こちらのほうも情報ありがとうございます。 そんな低い線量でもリスクありという研究もあるのですね。こんなところで一致した結論が出ていないというのはおもしろいことです。 # 中性子については半減期ではなく空気の原子核との衝突による減衰では?
> # 中性子については半減期ではなく空気の原子核との衝突による減衰では?
ああそうか、それだと exponential decay になりますね。 大気のことを完全に忘れてました。ありがとうございます。
はじめまして。 最初に文字の話で恐縮ですが、「被曝」となるべき文脈で「被爆」とされているところが、コメントも含めて多々あるようです。
さて、当該論文には目を通しておりませんが、その考察の正否はともかく、被ばく者の健康影響調査のデータとしてはそういう傾向はあるのだそうです。以前聞いたことのある話では、中間的な距離で被ばくされたケースでは比較的健康状態のよい方が生き残られたので、そのような傾向が出たのではないかという可能性が考えられているということでした。
ちなみに少ない量では量が多いときに見られる有害効果とは異なる応答が観察されるという、刺激効果というような意味での“ホルミシス”は「トンデモ」ではありません。「有益」とか「より健康」とかになると今度は言葉の定義の問題が関わってきますが。 挙がっている例で言えば、確かに事前に少量被『曝』するとその後の大量被『曝』に対する生存率が高くなるというデータは存在しますが、その事前の放射線量は、生存には影響を与えない量であっても血球数などにはある程度の影響を与えるようです。(余談ではありますが、このデータを持って「だから、少しくらい被爆(ママ)させても大丈夫」というような粗雑な考察を行う「学術」論文は存在し得ないと思います。) これよりも「刺激効果」らしい例では、少ない量の放射線を当てたマウスで突然変異が自然の頻度より低下したという実験例もあるそうです(それより低いところでまた自然頻度より上がる領域があったりするという変な話ですが)。昔原子力資料情報室のサイトで見た話だったんですが、同じページが見つからないので、ぐぐって出たURLを添付します(pdfです)。28ページからの話です。 http://www.rea.or.jp/oia/wp-content/text/02/H19radiation-effect-review.pdf
「広島原爆被爆者発がん率等の解析」については、対照を岡山に設定しておりますが、広島市は肝炎の多い地域であるため、顕著にリスクが高いとされた肝臓癌についてはその影響を検討すべきであるのになされていないというような問題点があるようです。
貴重なコメントありがとうございます。 被曝と被爆,何も考えずに変換されたものを使っていました。お恥ずかしい限りです。自分のものについては直しておきます。 PDF,後で読ませていただきます。
東京電力でも
東京電力の研究所の方が書いた論文では少し内容が違いますが、大量被爆の前に少し被爆させておいた方が生き残る確率が高くなるという論文を書いていたように記憶しています。その方の論文では「だから、少しくらい被爆させても大丈夫」という主張だったように記憶しています。
Re: 東京電力でも
情報ありがとうございます。件の論文にも日本人の文献が挙げてあり,日本でもこういう研究?がされているのだろうと思います。
ホルミシス効果
ホルミシス効果は応用できるほど確立されたものではないようですが、現象そのものはかなり古くから知られているもののようですね。 とあるギャグマンガでネタにしているのを見たことがあります。
10年前の書籍で申し訳ないのですが(↓) http://w
10年前の書籍で申し訳ないのですが(↓)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062572389/
などに、情報が載っていました。
「放射線ホルミシス効果」という名で、ラジウム温泉が健康によいことの論拠となっていたように思いますが・・・書籍が手元にないので、ちょっとあやふやです。
原爆とでは比較にならないかもしれませんが
ラジウム温泉やラドン温泉なんてありますよね。
昔から気になってるところです。
ホルミシス効果という名前もあるんですね。
ちょっとエセ色多し。
放射線ホルミシス効果
皆様,情報ありがとうございます。
近藤宗平『人は放射線になぜ弱いか』,これって件の論文で引用されている S. Kondo ですね!
Kondo S. 1993. Health Effects of Low Level Radiation. Kinki Univ. Press, Osaka.
アマゾンのお薦めに同種の本がたくさん出てきました。こういった主張は非常に多いのですね。
三朝温泉
鳥取の三朝温泉は世界有数のラジウム泉として有名ですが,あの地域の人の平均寿命は他の地域よりも長いと聞いたことがあります。
*僕は裏付けを取っていない
*他の生活・文化要素も大きいと考えられる
ので,一概には何とも言えませんが,被曝を続けていてもがんが多発していないのは事実のようです。
HAL?
これはあさりよしとおさんの
HAL - はいぱあ あかでみっく らぼ
ですね。
参考
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Forest/6130/himituseries/mansci/hal....
放射線で寿命が延びる!
“radiation longevity” で検索したら,たくさん出てきました。オープンアクセスな短いレビューを一つ挙げておきます: J. R. Cameron, Moderate dose rate ionizing radiation increases longevity, British Journal of Radiology, 78, 11-13 (2005) とそれを引用している4編。
はだしのゲンでも
原爆で難病が治った人が1コマ出てきました。
運が良ければがん細胞が死ぬとかするのかもしれません。
電力中央研究所のサイトで
「低線量放射線の発がんリスクに関連する報道について」
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/trend/20050722/index.html
というのを見つけました。部外者なのでよくわかりませんが、このページから辿れる「当センターにおける研究成果」(当センター=放射線安全研究センター)で多数の報告書が列挙されていることから、おそらく東京電力でもここの研究成果を参照しているものと思われます。...と思ったら、報告書のリンクがことごとくNot Found...。
> ことごとくNot Found...。
研究所ページの右上のGoogle窓に「低線量」などキーワードを入れると、正しいPDFのありかが検索されました。
リンク切れ
ありがとうございます。URLの
/leaflet/rep_list/pdf/
を
/report/leaflet/
に置き換えればいいのですね。
健康増進・長寿のために原発を誘致しようという動きになるでしょうか。
しかしこの研究所名CRIEPIはcreepyと読ませるのでしょうか。恐ろしそうな名前です。
広島原爆被爆者発がん率等の解析
元論文に当たっているわけではないのですが、昨夏の新聞報道で、極低線量でもリスクが高まっているかもしれないという研究結果が報道されておりました。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080805-OYT8T00231.htm
拙ブログでも以前取り上げましたが、
http://ameblo.jp/fireflysquid/entry-10125566708.html
どうも、過去の解析では極低線量被爆者を非被爆者群に分類していた、つまり非被爆(被曝)の基準の取り方がまずかった、という主張のようです。
詳細を見ておりませんのでなんとも言えないのですが、もしこれを信じるのであれば、ホルミシス効果で原発誘致というのは困ったものです(効果がはっきりしない状態で、あたかも効果があるように言うこと自体が問題ではありますが)。
Re: 広島原爆被爆者発がん率等の解析
こちらのほうも情報ありがとうございます。
そんな低い線量でもリスクありという研究もあるのですね。こんなところで一致した結論が出ていないというのはおもしろいことです。
# 中性子については半減期ではなく空気の原子核との衝突による減衰では?
Re: 広島原爆被爆者発がん率等の解析
> # 中性子については半減期ではなく空気の原子核との衝突による減衰では?
ああそうか、それだと exponential decay になりますね。
大気のことを完全に忘れてました。ありがとうございます。
放射線
はじめまして。
最初に文字の話で恐縮ですが、「被曝」となるべき文脈で「被爆」とされているところが、コメントも含めて多々あるようです。
さて、当該論文には目を通しておりませんが、その考察の正否はともかく、被ばく者の健康影響調査のデータとしてはそういう傾向はあるのだそうです。以前聞いたことのある話では、中間的な距離で被ばくされたケースでは比較的健康状態のよい方が生き残られたので、そのような傾向が出たのではないかという可能性が考えられているということでした。
ちなみに少ない量では量が多いときに見られる有害効果とは異なる応答が観察されるという、刺激効果というような意味での“ホルミシス”は「トンデモ」ではありません。「有益」とか「より健康」とかになると今度は言葉の定義の問題が関わってきますが。
挙がっている例で言えば、確かに事前に少量被『曝』するとその後の大量被『曝』に対する生存率が高くなるというデータは存在しますが、その事前の放射線量は、生存には影響を与えない量であっても血球数などにはある程度の影響を与えるようです。(余談ではありますが、このデータを持って「だから、少しくらい被爆(ママ)させても大丈夫」というような粗雑な考察を行う「学術」論文は存在し得ないと思います。)
これよりも「刺激効果」らしい例では、少ない量の放射線を当てたマウスで突然変異が自然の頻度より低下したという実験例もあるそうです(それより低いところでまた自然頻度より上がる領域があったりするという変な話ですが)。昔原子力資料情報室のサイトで見た話だったんですが、同じページが見つからないので、ぐぐって出たURLを添付します(pdfです)。28ページからの話です。
http://www.rea.or.jp/oia/wp-content/text/02/H19radiation-effect-review.pdf
「広島原爆被爆者発がん率等の解析」については、対照を岡山に設定しておりますが、広島市は肝炎の多い地域であるため、顕著にリスクが高いとされた肝臓癌についてはその影響を検討すべきであるのになされていないというような問題点があるようです。
Re: 放射線
貴重なコメントありがとうございます。
被曝と被爆,何も考えずに変換されたものを使っていました。お恥ずかしい限りです。自分のものについては直しておきます。
PDF,後で読ませていただきます。