ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- Aikawa Takuya の投稿
返信数: 13
LuaTeX-ja(TeX Live 2016)を利用して縦書きの本を作ろうと思っていますが、
タイトル、目次、\part、\chapterに関するページの扱いに困っております。

理想としては、横書きのltjsbook.clsで実現されている、
  • ファイルの1ページ目にタイトル
  • 目次、部、章の始まりが全て奇数ページ
  • 適宜空白ページを挿入
この3点をltjtbook.clsでも実現できたらと思うのですが、いい解決法が見つかりません。

下のコード(ダミーの本文は添付ファイルをご参照ください)を処理したところ、
次のような状態になってしまいます。
  • タイトルの前に不要な空白ページ
  • 章が連続する場合、必ずしも奇数ページ始まりにならない
左起こしになるように\cleardoublepageを再定義しても、
結果にあまり違いはありませんでした。

いろいろ試してみましたが、独力ではどうにもならず、
知恵をお借りしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

----サンプル・コード----
\documentclass[a4paper,11pt,twoside,openany]{ltjtbook}

\usepackage{luatexja}

\usepackage{lipsum}

%\makeatletter
%\renewcommand*\cleardoublepage{\clearpage\if@twoside
%  \ifodd\c@page \hbox{}\newpage\if@twocolumn\hbox{}%
%  \newpage\fi\fi\fi}
%\makeatother

\title{縦書きのテスト}
\author{○○○○}
\date{}

\begin{document}

[……本文……]

\end{document}
Aikawa Takuya への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- 前田 一貴 の投稿
・左起こしだけど,openany ではなく openright にする.もしくは単に openany を削除.
・http://mirrors.ctan.org/language/japanese/platex/pldoc.pdf
  を見ると,

> 縦組のとき、改ページ後の内容が偶数ページ(右ページ)からはじまるようにしま
> す。横組のときには、奇数ページ(右ページ)からはじまります。

  となっているので,横組の定義に合わせて

\makeatletter
\def\cleardoublepage{\clearpage\if@twoside
  \ifodd\c@page\else
    \hbox{}\thispagestyle{empty}\newpage
    \if@twocolumn\hbox{}\newpage\fi
  \fi\fi}
\makeatother

  とする.

これでいかがでしょうか.

(何かクラスファイル側でも対応するべきなのでしょうか.)


http://d.hatena.ne.jp/uogiawi/20091118/1258502869
にほぼ同じことが書いてありました.
前田 一貴 への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
> (何かクラスファイル側でも対応するべきなのでしょうか.)

これは私も同じようなことを思ったことがあって忘れていました。
jbook の openany を直す話 (forum:2088) も GitHub にはコミットしましたが
まだタイミングを見計らってリリースしていません。
コレを出すのは TeX Live 2017 にしようかと思っていたので、その時に
openleft みたいなオプションを追加してもいいかもです。
前田 一貴 への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- Aikawa Takuya の投稿
前田一貴様

素早いご回答どうもありがとうございました。

ご指摘の通りに指定してみたら、望んでいた結果が得られました。

2つ目に挙げてくださったブログもチェックはしていたのですが、
こちらの勘違いで答えにたどり着けていなかったようです……
(おそらくopenanyの消し忘れ)
お騒がせいたしました。

***

開発に関しては素人の意見になりますが、
今回のような改ページの挙動やタイトルの出力
(e. g. tarticleで著者名が中揃えよりは下揃えが見栄え的に良いのでは)など、
縦組み用クラスで縦組みに特化したチューンナップがより充実すればとは感じています。

今後の開発に期待しつつ、お手伝いできることがあれば
協力は惜しまないつもりです。

このたびは感謝いたします。
Aikawa Takuya への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
ltjt… は t… クラスとなるべく挙動を合わせているようですから、本件は upstream である
pLaTeX の issue と考えてコメントします。

pLaTeX クラスの開発については、互換性のためあからさまな仕様変更は避けたいと考えています。

> タイトルの出力
> (e. g. tarticleで著者名が中揃えよりは下揃えが見栄え的に良いのでは)

これは考え方によるので即採用は難しいという個人的憶測です。
新オプションを追加して…ならあり得なくはないです。

一方で私は

\documentclass{tbook}
\title{縦書きのテスト}
\author{○○○○}
\begin{document}
\maketitle
あいう
\end{document}

で最初に空ページが入るのは変だと思っています。
挙動を変えていいのか議論しどころかと思いますが、私の TODO です。
後日 GitHub:texjporg/platex に Issue を立てて議論しましょうか。
aminophen への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
>後日 GitHub:texjporg/platex に Issue を立てて議論しましょうか。

年末に立てたあと、Forum から導線を引くのを忘れていました。
https://github.com/texjporg/platex/issues/30
ここは pLaTeX の開発リポジトリですが、jarticle, tarticle,... のみならず
後で upLaTeX の ujarticle, utarticle,... や LuaTeX-ja の ltjarticle, ltjtarticle,... にも
反映される(はずの)案件ですので、どうぞご意見をお寄せください。
Aikawa Takuya への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
縦組クラスで openleft オプションを使えるようにする拡張を、pLaTeX について施すという実験が
おおかた終了しました。GitHub:texjporg/platex から tatecls ブランチをご覧ください。これに付随して、
横組クラスでも openleft が使えるようになっています。

現在の挙動は
  openleft オプションを使わない場合については従来と完全に一致する
  openleft オプションを使った場合の挙動は openright オプションと左右対称
にしてあります。さらに、横組では奇数ページが右側、縦組では偶数ページが右側になるという
一貫した仕様が存在するため
  奇数頁開き = 横組の openright 状態 = 縦組の openleft 状態
  偶数頁開き = 横組の openleft 状態 = 縦組の openright 状態
という対応関係も存在しています。このことから、openleft の新挙動は openright からの
類推で容易に想像していただけるものになっているはずです。

------------------------------------------

以下、注意点です。「従来の使い方と挙動を完全に一致させた」という結果、Forum などで出たことが
あるような疑問の残る挙動はそのままとなっています。もしこれらを直したいということであれば、
従来との互換性が失われますが、どうすべきでしょうか。

[1] このトピックで挙がったような縦組 tbook で

\documentclass{tbook}
\title{ほげ}
\aurhot{ふが}
\begin{document}
\maketitle
\chapter{AAA}
\end{document}

の場合(=縦組の openright 状態)にはやはりタイトルの前に白ページが入ります。また、この
挙動を踏襲した横組 jbook でも、openleft のときにやはりタイトルの前に白ページが入ります。

[2] 上と同じソースですが、タイトルページは右へとページ送りされています。ところが、ページ送り
完了後にタイトルページのページ番号は強制的に 1 に再設定されるため、レイアウトは左用になります。
結局、タイトルページは「右に送られた左用レイアウトの 1 ページ」という状態になります。
この直後に置かれたチャプターは 2 ページになりますが、やはりこれも右へとページ送りされます。
したがって「右に送られた左用レイアウトのページ」と「右に送られた右用レイアウトのページ」が
連続していることになります。タイトルページが右に送られたのに後から奇数番号を割り振られると
いうコードがそもそもの原因のようです。
aminophen への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- いな んず の投稿
この件なのですが、本の小口と喉は綴じ方向で変わってしまいます。
例えば、偶数ページの小口を吊るして、見開きで飾るカレンダーみたいなデザインを考えると、言葉としては"opentop"とかも考えられます。ですが、

1ページ(吊るす前の閉じた状態の表紙が描かれている)
2ページ(1月の前半、1月と写真が描いてある方、節の始まり)
3ページ(1月の後半、曜日とマス目に並んだ日付が入っている方)
4ページ(2月前半)
5ページ(2月後半)
……となって、"opentop"と言いながら、実は見開き起こしとなっています。

起こしが奇数ページからか、偶数ページからかは、
物理的なページ数を表紙から1始まりで両面を数えた場合、
決して閉じ方向には依存しません。

本当はフッタ・ヘッダと同じように、
openboth(片面印刷、どこでも起こし)
openodd(片起し)
openeven(見開き起こし)
といった言葉で処理したほうが良かったのではないかと思います。
ですが、今更なのでどうしたものか。
いな んず への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
> 本当はフッタ・ヘッダと同じように、
> openboth(片面印刷、どこでも起こし)
> openodd(片起し)
> openeven(見開き起こし)
> といった言葉で処理したほうが良かったのではないかと思います。
> ですが、今更なのでどうしたものか。

openright が「縦だと見開き起こし、横だと片起こし」を意味していて、ややこしい命名で
あることは同意しますが

・pLaTeX のクラスは本家 LaTeX のクラスにあるオプションはそのまま実装するという方針
・本家 LaTeX のクラスは西欧以外の組版事情は未考慮

という事情が重なっているので、諦めていただくほかなかろうと思います。

いなんずさんのおっしゃるものは
「片面印刷、どこでも起こし」→ 現在の openany,oneside を両方指定
「片起こし」→ 縦なら openleft、横なら openright
「見開き起こし」→ 縦なら openright、横なら openleft
にあたるので、一応凌げると思います。
aminophen への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- いな んず の投稿
ふと思ったんですが、TeXで表紙を作らない場合(製本表紙みたく表紙から裏表紙までつながっている原稿と、本文の表紙を用意する場合)は

A) TeXで処理している本体原稿が書籍の物理的な2ページ目(表紙の裏)から始まり、次のページが中表紙になる左開き本。中表紙のページはPDF入稿原稿の2ページ、ノンブルの1ページ、pageカウンタは2

B)TeXで処理している本体原稿が書籍の物理的な3ページ目の中表紙と一致する左開き本。中表紙のページはPDF入稿原稿の1ページ、ノンブルの1ページ、pageカウンタは1

Aの本は先ずない(表紙別立てで書籍の物理2ページめ=表紙裏に印刷するケースがほぼ無い)と思うんですが、造れないと見てよいでしょうか?
いな んず への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
> Aの本は先ずない(表紙別立てで書籍の物理2ページめ=表紙裏に
> 印刷するケースがほぼ無い)と思うんですが、造れないと見てよい
> でしょうか?

然るべき設計でコードを書けば、そのようなクラスファイルを作ることができます。
が、それを pLaTeX 標準添付クラスで提供すべきかというとそれは違うと思います。

標準でどこまでサポートするかは線引きが必要です。
一つの意見ですが、“需要が高いと見込める機能”は標準クラスでサポートしたほうが
好ましいと思います。仮にサポートされていない場合、必要に駆られた多数の方が
別々に開発し、結果として
「似ているけど同じじゃない挙動」
が乱立し、混乱を招きそうだからです。

縦組で左起こしの本を作りたいという希望は、割とこのケースに当てはまりそうなので
私は支持しました。しかし、表紙別立てでしかも表紙の裏に印刷したいという希望は、
当てはまるかどうか疑問です。
aminophen への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- 本田 知亮 の投稿
>然るべき設計でコードを書けば、そのようなクラスファイルを作ることができます。

同意します.究極的には
なんらかの領域の任意の箇所に文字および罫線を
任意の大きさで配置するのがTeXのお仕事ですので.

>標準でどこまでサポートするかは線引きが必要です。

これも同意.
どのような範囲で考えるかで標準そのものは
変わると思いますが,
個人的には,j(s)classes的なポジションのものは
細かいところよりも
・「普通」であること
・カスタマイズのベースやサンプルを提供してくれること
・開発側の方針が見えること
を望みたいです.


>ノンブルの1ページ、pageカウンタは2

物理ページ(紙の枚数)と
\c@pageを一致させる必要なく,
むしろ\c@pageは論理ページ(ノンブル)の
方にしないとややこしいと思います.
物理ページを管理したければ専用のカウンタを
設けるべきで,実際コストや台割作成の補助のために
物理ページをカウントする処理を入れたことはあります.


印刷や製本を考えると
表紙,表紙裏,裏表紙裏,裏表紙
(順に表1から表4といいます)は,
本文とは独立に制作すべきで,
すくなくとも本屋にある本は
ほぼそうなっているはずです.
これは,製本方法や用紙に依存しますが,
表1から4を作るときには束幅(背表紙の幅)を
勘案しないといけないからです.

縦組・左開きで
表2が本文みたいで,
その左に扉(様のもの)がある本は
確かに存在します.
例えば岩波のPR冊子「図書」がそうなってますが,
制作寄りの目でみると,やっぱりきちんとなってて
表1から4は独立に制作されているのがわかります.
ちなみに,この「図書」はさすがに
いろいろよく計算されてて,
いや~な目でよく眺めると
いろいろな苦労が透けて見えます.

#ちなみに
#奥付も本文と独立に作るほうがいい
#本によってはカバーの見返しに奥付がある
#(例えば,駿台文庫の問題集の単行本)
#そうすると,本文に触らず
#増刷の際に奥付だけ変えられるので,
#本文が壊れるリスクがへる
本田 知亮 への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- 岩熊 哲夫 の投稿
テーマとは直接は関係せず横書きですが,博士論文の執筆要領で初めて知ったのが,表紙が前文部分の第 1 ページ目でページ番号は表示せず,それ以降を 2 ページから始めて番号も表示するということでした。前文は表紙と審査員署名・謝辞・目次等で,ページはローマ数字。第 1 章は本文第 1 ページでアラビア数字。番号の位置も指定されていました。書籍だと章始めは奇数ページですが,論文では(report.cls と同様)必ずしもそうなってなかったような気がします。
学会の編集委員会委員をしていたときに,「編集必携」という本でいろいろ知識を得ましたが,日本語でも横組みはほぼ同じだったような気がします。今手元にないので,いい加減な情報ですみません。で,国内外の専門書を見ると,ほとんどは上述通りになっていますが,特に国内の専門書ではそうなってないものも少なくないような印象を持っています。ワードプロセサ全盛で,全角の英数字の多用が続く昨今ですが,できれば活版の頃の約束事を継承して欲しいなぁと思う今日この頃でした。
aminophen への返信

Re: ltjtbookでの左起こし(奇数ページ始まり)

- aminophen の投稿
20170221.0 の LuaTeX-ja で、縦組 ltjtbook に openleft が追加されています。
横組 ltjbook でも openleft が使えます。

> 2017年 02月 09日(木曜日) 12:00 - アセト アミノフェン の投稿
の [1] [2] として挙げていた「疑問の残る挙動」も、精査の結果、バグの可能性が
高かった(両面印刷のはずなのにそれが上手くいかなかった)ため、同時に
修正されました。pLaTeX でも開発版では修正しましたが、TeX Live 2017 に
合わせてリリースする予定のため、暫くの間 pLaTeX と LuaTeX-ja で挙動が
異なることになります。TeX Live 2016 の期間中は念のためご留意ください。