ベクトルグラフィック言語Asymptoteで日本語が通る!

Asymptote on Mac

前にも書いたTufteのデザインを真似た tufte-latex を日本語化して使おうと思ってマニュアルを読み始めたら, Asymptote のグラフ出力の例が載っていたので, TUGboat 29:2, 2008 に載っていたAsymptote論文を思い出して,Macにインストールしてみた。 バイナリもあったようだが,面倒なのでソースからコンパイルし,TeX Wikiに Asymptote の項目をとりあえず作った。どんどん書き足してください。

ベクトルグラフィック言語にはもちろんPostScriptがあるが,手書きは面倒である。そこでKnuth先生の弟子がMETAFONTの文法でPostScriptを出力できるMetaPostという言語を作った。Knuth先生はこれを気に入って,ご自分の本の図はこれで書くようになった。しかし,今となっては,MetaPostは古くさくて使いにくく,機能も限られている。浮動小数点も使えない。そこで,新たに現代風に作り直されたのがAsymptoteである。

Asymptoteの出力はEPSまたはPDFである。バッチ処理もできるし,プレビューを見ながら1行ずつ打ち込むこともできる。日本語も通る!

日本語が通るのはトリビアルではないみたいだ。日本語でAsymptoteを解説した asymptote メモ にも「日本語は通らない」と名言されているし,それを踏まえて 十日日記 - AsymptoteをpTeX W32環境で使用(その2) では英語版LaTeXで漢字を扱えるようにするCJKパッケージを使って日本語を書いている。でも,うちのMacでやってみたら,TeX Wikiにも書いたように,-tex ptex オプションで日本語が通る。PDFプレビューもMacなら再読み込みも含めてほぼうまくいく。

Asymptoteのソースはきれいなので,ちょっと書き直せばGhostscriptを使わずpLaTeX+dvipdfmx対応にできそうだ。どなたか時間と元気のあるかた,ぜひ挑戦してください。

[2009-01-18追記] -tex ptex オプションより良い方法をTeX Wikiの Asymptote に書いた。簡単な実例も載せた。Asymptoteはラベル出力にarticle.clsを決め打ちで使っているので,article.clsと組み合わせてjsarticle.clsと同じ日本語フォントにするための minijs.sty も用意した。