t検定の話

昨日修正したWikipediaの Student's t-test は,昨日中にさらに4回も編集されているが,細かい文言の修正にとどまっている。記法の統一など,もっと直すべきところがあるので,どなたかチャレンジしてください。

ついでにt検定にまつわる話をいくつか。

昨年度の授業で,ネットでt検定を使った情報教育関係の論文を検索し検算するという課題を出した。最初に見つかったものが,二つの群のアンケート結果の違いをF検定していたが,それをt検定させてみたところ,論文で有意となっていたものがすべて有意でなく,有意なのは論文で有意でないとなっていたものの一つだけだったので,びっくりした。

二通りの授業で学生満足度の違いを検定する作業にかかわったことがある。初稿では,各項目について,まず等分散の検定をし,有意差のある項目・ない項目でそれぞれ等分散を仮定しない・仮定するt検定をしていたが,数学的に気持ちが悪いので,全項目で等分散を仮定しない検定に直してもらった。世間一般ではどうなんだろうと調べているうちに,さきほど次の論文を見つけた。

Ruxtonは,いくつかの論文を挙げて,このような2段階検定を批判し,等分散を仮定しないもので統一すべきだと述べている。この点ではMann-WhitneyのU検定も同じ穴のムジナである。ここで参照されている Kasuya 2001 については,粕谷先生ご自身のブログに要約がある。

「えっ、ノンパラメトリック検定なのに不等分散が影響するの?」はおもしろい。

ついでに見つけたもの:二群の等分散性の検定では,予備検定を行う方法が書いてあり,それを見せ消ちにして,最初からWelchの検定を使うように直してある。