原ノ味フォントをデフォルトに

Re: 原ノ味フォントをデフォルトに

- aminophen の投稿
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本日の TeX Live 2020 pretest から,
dvipdfmx / dvips での日本語フォント埋込の既定値が
「IPAex フォント」から「原ノ味フォント」に変更されました。
(r54473, r54495)

実際にこれが pretest ご利用の皆様のお手許に届くのは
「texlive.infra パッケージが更新される時」
なので,少し遅くなりますが…。

以下,GitHub の長い議論で出てきたことの要点をまとめます。

[1] updmap (kanji-config-updmap-sys) の設定値について

従来の既定値は
  jaEmbed="ipaex", jaVariant=""
でしたが,新しい既定値は
  jaEmbed="haranoaji", jaVariant="-04"
になりました。これは
  $ kanji-config-updmap-sys --jis2004 haranoaji
を実行した状態に相当します。明示的に "-04" が指定されていますが,これは
従来の IPAex が JIS2004 字形だったことを加味して決定されました。

[2] OTF パッケージ

原ノ味フォントは OpenType 形式ですので,
従来の IPAex では出来なかった機能のサポートが改善します。
(JIS90/2004 字形の切替,明朝の太字・ゴシックの太字を含む多書体化,etc.)

[3] 組版結果について

最新の原ノ味フォントでは,
Adobe-Japan1 で全角幅のグリフは全角幅でデザインされています。
したがって,昔話題になった
「Windows の游でクオート記号が全角幅でないためにずれる」
https://okumuralab.org/tex/mod/forum/discuss.php?d=2017
のような問題は起きません。

なお,従来の IPAex でも「一部のグリフが全角幅でない」という問題がありました
https://zrbabbler.hatenablog.com/entry/20120629/1340994194
ので,その点も含めて原ノ味フォントでは状況改善されたといえます。

[4] Ghostscript の設定

dvipdfmx をお使いの場合は,今までどおり特別な作業は必要ありません。
dvips の場合はその後に Ghostscript を使うと思いますので,下記を参照してください。

[4-1] macOS / Linux など Windows 以外の場合

従来どおり,「Ghostscript で日本語フォントを使えるようにする設定作業」が必要です。
具体的には,cjk-gs-integrate スクリプトを実行すれば OK ですが,
最新のバージョン 20200307.0 以降を使うようにしてください。

$ sudo cjk-gs-integrate --link-texmf --force

(注) pTeX/upTeX 用のマップで使われる CMap のうち 2004-H, 2004-V は gs に
同梱されていないのですが,最新の cjk-gs-integrate はこれらを自動的にインストールします。

[4-2] Windows の場合

特別な作業は不要です。

(注) install-tl の実行の最後,あるいは tlmgr が haranoaji パッケージを
インストール又は更新した後のいずれかのタイミングで,
「TeX Live 内蔵 gs (tlgs) で原ノ味フォントを使えるようにする設定」
が自動実行されるためです。