Re: ヒラギノ角ゴのW3, W6を使い分ける

Re: ヒラギノ角ゴのW3, W6を使い分ける

- ut の投稿
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ヒラギノ角ゴのW3, W6を使い分ける
2013年 03月 30日(土曜日) 16:40 - 飯田 保和 の投稿
https://okumuralab.org/tex/mod/forum/discuss.php?d=965
> 以下の①~⑤の手順でヒラギノフォントで出力するよう設定しました。
> 本文は明朝W3で、\sectionや\textbfは角ゴW6で出力するようにしたつもりなのですが、
> \sectionや\textbfが角ゴW3で出力されるようになってしまいました。
> (本文の明朝W3は問題なく設定できました。)
> どのようにすれば\sectionや\textbfを角ゴW6で出力するようにできるでしょうか。
> またそのように設定した場合、角ゴW3を出力したい場合の手法についてご教示願います。

お書きになられている 「手順」 は、「otf パッケージを使って」 「dviout と dvipdfmx で」 ヒラギノ基本 6 書体 (+ヒラギノ明朝W2) を使うためのもの(*註)ですが、設定をしただけでは、6 書体 (7 書体) は使えないと思います (なお、W32TeX の場合には、実フォントは $TEXMF 以下でなく、システムにインストールしても大丈夫だと思います)。

  (*註) map では 明朝W2 の設定もされてらっしゃるようですので。あと、dvipdfmx の rml と gbm は、ProN にされているのですね…。

それで、

> 本文は明朝W3で、\sectionや\textbfは角ゴW6で出力するようにしたつもりなのですが、
> \sectionや\textbfが角ゴW3で出力されるようになってしまいました。

というのは、下記の (1) に当たる、オプションなしで otf を読み込んだ状態かと思われますが、その場合は、おっしゃる通り、明朝W3 と 角ゴW3 の 2 書体しか使えません。

オプションが bold と deluxe の場合について、以下に簡単にまとめてみましたが、いずれも otf パッケージのマニュアルできちんとご説明されていることを、言い直してみたに過ぎません。


----- サンプル -----
\documentclass{jarticle}
% \usepackage{otf}
% \usepackage[bold]{otf}
% \usepackage[deluxe]{otf}
% \usepackage{redeffont}

\begin{document}

\section*{あいうえお}%〔mc/bx〕
% from: jarticle.cls
% \newcommand{\section}{\@startsection{section}{1}{\z@}%
%    {1.5\Cvs \@plus.5\Cvs \@minus.2\Cvs}%
%    {.5\Cvs \@plus.3\Cvs}%
%    {\reset@font\Large\bfseries}}

{\mcfamily\bfseries かきくけこ}%〔mc/bx〕

{\gtfamily さしすせそ}%〔gt/m〕

{\gtfamily\bfseries たちつてと}%〔gt/bx〕

\end{document}
----- サンプル -----


(1) \usepackage{otf}

アスキーの元々の fd では、mc/bx は gt/m に代替され、gt/bx は gt/m に代替されていて、otf パッケージのデフォルトもそれと同じ結果になるようにしてあるようです:

・ mc/m  --(map)--> ヒラギノ明朝W3
・ mc/bx --[ssub]--> gt/m --(map)--> ヒラギノ角ゴW3
・ gt/m  --(map)--> ヒラギノ角ゴW3
・ gt/bx --[ssub]--> gt/m --(map)--> ヒラギノ角ゴW3

(実際には、otf パッケージは ssub で代替をしているわけではありませんが)。

したがって、サンプルの場合は、

あいうえお ---> mc/bx ---> gt/m
かきくけこ ---> mc/bx ---> gt/m
さしすせそ ---> gt/m
たちつてと ---> gt/bx ---> gt/m

となり、いずれも gt/m にマッピングされたフォント (ヒラギノ角ゴW3) になります。


(2) \usepackage[bold]{otf}

bold オプションは、gt/m に対して gt/bx の tfm を使うように設定するので、

・ mc/m  --(map)--> ヒラギノ明朝W3
・ mc/bx --[ssub]--> gt/m --[bold]--> gt/bx --(map)--> ヒラギノ角ゴW6
・ gt/m  --[bold]--> gt/bx --(map)--> ヒラギノ角ゴW6
・ gt/bx --(map)--> ヒラギノ角ゴW6

となります (実際には mc/bx を gt/m に代替しているわけではなく、mc/bx のときの tfm を gt/bx と同じにしています)。

したがって、サンプルの場合はいずれも gt/bx にマッピングされたフォント (ヒラギノ角ゴW6) になります。


(3) \usepackage[deluxe]{otf}

deluxe オプションは、mc/m, mc/bx, gt/m, gt/bx に別々のフォントがマッピングされるように tfm を設定するので、

・ mc/m  --(map)--> ヒラギノ明朝W3
・ mc/bx --(map)--> ヒラギノ明朝W6
・ gt/m  --(map)--> ヒラギノ角ゴW3
・ gt/bx --(map)--> ヒラギノ角ゴW6

となります (この他に mc/l/n, mc/m/prp, mc/bx/prp; gt/eb/n, gt/m/prp, gt/bx/prp; mg/m/n, mg/m/prp も設定されます)。したがって、サンプルの場合は、

あいうえお ---> mc/bx ---> ヒラギノ明朝W6
かきくけこ ---> mc/bx ---> ヒラギノ明朝W6
さしすせそ ---> gt/m  ---> ヒラギノ角ゴW3
たちつてと ---> gt/bx ---> ヒラギノ角ゴW6

となります (section の見出し 「あいうえお」 が、明朝の bold です)。


(4) deluxe オプションと redeffont.sty を併用する

\usepackage[deluxe]{otf}
\usepackage{redeffont}

otf パッケージにはちゃんと redeffont.sty というパッケージが同梱されていて、

\renewcommand{\section}{\@startsection{section}{1}{\z@}%
  {1.5\Cvs \@plus.5\Cdp \@minus.2\Cdp}%
  {.5\Cvs \@plus.3\Cdp}%
  {\reset@font\Large\section@head@font}}%changed
\def\section@head@font{\headfont}
\def\headfont{\gtfamily\bfseries}

等々と設定されているので、redeffont.sty を使うと見出しが gt/bx になります。したがって、この場合サンプルは、

あいうえお ---> gt/bx ---> ヒラギノ角ゴW6
かきくけこ ---> mc/bx ---> ヒラギノ明朝W6
さしすせそ ---> gt/m  ---> ヒラギノ角ゴW3
たちつてと ---> gt/bx ---> ヒラギノ角ゴW6

となります。