現在の pxdvi は dvipdfmx 用の kanjix.map をほぼそのまま使用することができます.
特に,私が http://sourceforge.jp/projects/eptex/wiki/TeX_Live_2011 で公開している
「追加日本語パッチ」の最新版(tl11supp-20111105.tar.xz)では,
TrueType フォントで otf パッケージ中の \CID{} を用いる時に要る "/AJ16" 指定も
扱えるようにしました.
さて,dvipdfmx 用の otf-ipa[ex].map などでは,太字に用いる TrueType フォントを
細字のそれで代用するようにしています.pdf の仕様を読んでないので正確なことは知りませんが,
「擬似的な太字」のような指定とフォント埋込を一緒にすることはできない?ようです.
次のように kanjix.map に書いても,単に「IPAexゴシックの太字を使う」という情報が
pdf に非埋込の形で残るだけです:
gbm H ipaexg.ttf,Bold
一方,pxdvi では,freetype によって「擬似的な太字」を表示することができます.
例えば,上に挙げた指定で,\gtfamily で選択される「普通の」ゴシック体を,
IPAexゴシックの太字によって表示することができ(ると思い)ます.
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さて,ここでお伺いしたいのは,pxdvi による dvi の表示と,dvipdfmx による pdf
との関係を,普通の TeX ユーザがどのように捉えているか、ということです.
こちらがぱっと思いついたのは,次の2つの考え方です:
- 一つの考えとして,「dvipdfmx によってできる pdf こそが最終的なもので,
pxdvi ではその途中経過を表示しているだけである.よって pxdvi での表示は
dvipdfmx による pdf のそれに合わせるべきである」というものです.
この場合は,xkanji.map をそのまま pxdvi で用いる,ということになります.
- もう一つの考えとして,「pdf も pxdvi の表示も,『最良の状況』を近似しているだけ.
dvipdfmx で フォントを太字で埋め込めないのは dvipdfmx 側の制限で,
pxdvi 側で太字が表示できるのならば,その機能を利用するべき」というものがあります.
この場合,pxdvi 側のフォントマップとして,dvipdfmx のそれとは異なるものを使う
ことになります.