japanese-otf-uptex v0.26

japanese-otf-uptex v0.26

- t tk の投稿
返信数: 6
japanese-otf-uptex の新版 v0.26 2020-11-14 をリリースしました。CTANへも投稿済みです。

今回の目玉は、
  1. \UTF{}, \UTFC{}, \UTFT{}, \UTFK{}の内部コードをUnicode化し多書体化
  2. 一部本文用vfの軽量化
です。
\UTF{} (日本語用) は以前から最多で7書体(deluxeオプション使用時)でしたが、\UTFC{}, \UTFT{}, \UTFK{} (中韓用)についても2書体から7書体に拡張されます。
テストでは、HaranoAji フォントの CK版 を利用させていただきました。ありがとうございました>trueroad様

また、\UTF{}, \UTFC{}, \UTFT{}, \UTFK{}の内部コードを以前の方式(subfont方式)からUnicodeに変更しました(upLaTeX使用時)。さらに下記和文vfのfallback機能と相まって \UTF*{}や本文のUTF-8の文字で vf 生成時に登録されていないコードポイントの文字でも表記出来るようになりました。例えば、Adobe-Japan1-7に未登録の漢字、変体仮名や一部の絵文字など、実フォントの対応があれば表記可能になります。

一部の本文用フォント("expert", "brsg", "ruby"などオプション使用時)のファイルサイズを小さくしました。

新機能を使用するために、dviwareに和文vfのfallback機能が必要です。
対応済みのdviwareは
  1. dvipdfmx (version 20200315 (2020/3/15) or later)
  2. dvips (TeX Live subversion r54794 (2020/4/19) or later)
です。dvipdfmxの新版はTeX Live 2020に既に入っています。dvipsの新版はTeX Live 2020には入っていません。Windowsの W32TeX では両者とも既に入っています。

もし従来のdviwareで使用したい場合は、以下の対処をお願いします。
本文用vfについてはvf生成スクリプトumakeotf{,_brsg,_jis04,_prop} の中のumkjvfの "-omitfw"オプションを消去してvf生成スクリプトを実行。生成されたvfを使用すれば従来のdviwareでも動きます。(vfのファイルサイズは大きくなります。)
\UTF{} については、otf.sty の中の以下のコードで(2)をコメントアウトし(1)を活かすと従来のサブフォントのvfが利用できます。
% \uppercase{\set@character="#1}% (1) pLaTeX, upLaTeXともに\UTF{}に従来のsubfontを使う
\uppercase{\if@otf@uplatex\set@character@\else\set@character\fi="#1}% (2) upLaTeXでは\UTF{}に新vfを使う
\UTFC{}, \UTFT{}, \UTFK{} については似たような対処法も考えられますがサブフォント版vfは多書体化していないため少々ややこしいです。japanese-otf-uptex v0.26 への更新をせず旧版を使用することをおすすめします。

なお、\UTFM{} は従来のままです。(サブフォント形式、2書体)

今回の更新は大掛かりな部類に入ると思います。検証は充分に行ったつもりではありますが、未成熟な部分が出ないとも限りません。何か見つけたらフィードバックをいただけるとありがたいです。

t tk への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- よこ の投稿
多書体化は大変ありがたいです。
早速使ってみようかと思うのですが、フォントの設定はどのようにすればよいでしょうか。
kanji-config-updmap で設定すればよいのでしょうか。
よこ への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- aminophen の投稿
すみません,kanji-config-updmap でのフォント設定はサポートしていません。
TeX Live には「原ノ味フォント」のような多ウェイトを持つ中国語・韓国語フォントがないので,
仮に対応作業を始めるにも後回しになると思います。
よこ への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- t tk の投稿
手動設定かつ概略の説明になりますが、以下のようにすると出来るはずです。

(1) Harano Aji Fonts 日本語版は既にある前提として、
Harano Aji Fonts CK版を以下から選んでダウンロードし、
kpathsearch で検索できるところに配置する。

https://github.com/trueroad/HaranoAjiFontsCN
https://github.com/trueroad/HaranoAjiFontsTW
https://github.com/trueroad/HaranoAjiFontsK1

(2) dvipdfmx を利用するのならば、以下のようなmapファイルを用意する。
https://github.com/t-tk/japanese-otf-uptex/blob/master/japanese-otf-uptex/test/uplatex/utfmacro-haranoaji.map

(3) mapファイルを指定してdvipdfmxを実行。
dvipdfmx -f utfmacro-haranoaji.map hoge.dvi



よこ への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- Toshio Otaguro の投稿

私はほとんどが日本語の文章の中で,ほんの数箇所簡体字や繁体字で固有名詞などを挿入するような文章を書いていますので,便乗して質問させてください.

多書体化の前に,明朝体とゴシック体だけであれば,原の味フォントの簡体字版を適切にインストールしたうえで,以下のソースを試すと,意図した通りの結果が得られました.ちなみに dvipdfmx に utfmacro-haranoaji.map を与えていませんが,うまくタイプセットできています.

\documentclass[uplatex,dvipdfmx,ja=standard,11pt,b5paper]{bxjsarticle}
\usepackage[uplatex,deluxe]{otf}
\usepackage[noalphabet]{pxchfon}
\usepackage[main=japanese]{pxbabel}
\setschineseminchofont{HaranoAjiMinchoCN-Regular.otf}
\setschinesegothicfont{HaranoAjiGothicCN-Medium.otf}

\begin{document}
\section{日本語}
武漢は武漢市(ぶかんし/ウーハンし)は、中華人民共和国の中部、湖北省の東部、長江とその最大の支流漢江の合流点に位置する都市である。(Wikipedia日本語版から引用)
\section{\foreignlanguage{schinese}{简化字}}
\foreignlanguage{schinese}{\textgt{武汉}
简称“\textgt{汉}”别称\textgt{江城}中华人民共和国超大城市和国家中心城市之一湖北省省会、副省级城市。}(Wikipedia中国語版から引用)
\end{document}

以下質問です.

  1. そもそも,pxbabelを使うこのような手法は適切なのでしょうか?
  2. 以前は Noto OTC 版を使っていましたので,多ウェイト化は容易でしたが,OTC 版が無い原の味フォントでは,どのような準備をすれば多ウェイト化が出来るようになるのでしょうか?
よろしくお願いいたします.

t tk への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- t tk の投稿
対応dviwareにdvisvgm v2.11以降が加わりました。

dvisvgm の作者 Martin Giesekingさんが和文vfのfallback機能に対応しv2.11としてリリースしてくださいました。
TeX Live 2021には間違いなく加わるはずです。

t tk への返信

Re: japanese-otf-uptex v0.26

- Akira Kakuto の投稿
> dvisvgm の作者 Martin Giesekingさんが和文vfのfallback機能に
> 対応しv2.11としてリリースしてくださいました。

(註) リンク先にある、Windows 用バイナリは、(使用したことはありませんが)
local installation of MiKTeX が必要で、MiKTeX Portable Edition
では動かないと書いてあるものです。
W32TeX および TeX Live で動くものは W32TeX で配布している
dvitools-w32.tar.xz 内の dvisvgm.exe (32bit),
dvitools-w64.tar.xz 内の dvisvgm.exe (64bit) があります。
32bit 版は 32bit の ghostscript、
64bit 版は 64bit の ghostscript をインストールしておく必要があります。
32bit 版を TeX Live で使うときには、ghostscript をインストールして
なくても、TeX Live にインストールしてある gswin32.dll を使用できる
ように調整してあります。