今朝,japanese-otf と japanese-otf-uptex
(いわゆる「OTF パッケージのベータ版」とその upTeX 対応版)
が TeX Live で更新されています。この件について 2 点ほど:
[1] jsreport クラス(2017 年 2 月に新設)への対応
「jsclasses が意図した和文スケール値が,jsreport の場合だけ
OTF パッケージに引き継がれない」という問題が解消します。
https://github.com/texjporg/jsclasses/issues/63
[2] ヒラギノ仮名文字プロポーショナル組用 TFM/VF の分離
\usepackage[deluxe]{otf} の時に使える \propshape 命令,すなわち
「ヒラギノフォントの(主に)仮名文字をプロポーショナル組にする」
という機能を使っている方に影響します。
このプロポーショナル組に使う TFM / VF ファイル群が,TeX Live で
提供されなくなります。理由は
「フリーフォントではないヒラギノ専用である」
からです。
TeX Live で配らない代わりに,TLContrib という別の場所
http://contrib.texlive.info
でこの TFM/VF の配布を開始しています(Thanks: ノルベルトさん)。
$ tlmgr repository add http://contrib.texlive.info/current tlcontrib
$ tlmgr pinning add tlcontrib '*'
としてから,japanese-otf-nonfree と japanese-otf-uptex-nonfree を
インストールしてください。
※ 単に TeX Live 本体で「生成済みの TFM/VF」が配られなくなる
というだけであり,「TFM/VF を作るためのスクリプト」はまだ
TeX Live に含まれています。このスクリプトを使った生成作業が
できる方は,TLContrib を使わなくても TFM/VF が入手可能です。
(TLContrib はあまり日本では知られていないので,一応補足。)
TLContrib に収録されているもので,特に象徴的な getnonfreefonts を例に説明してみます。
https://www.tug.org/fonts/getnonfreefonts/
TeX Live は書籍の付録として DVD に入る場合もあるため,
「商用再配布されてもライセンス上問題がない」
ものだけを『フリー』とみなし,採用する方針をとっています。この方針では
「商用・非商用を問わず無料で利用可能だが,商用再配布を禁じるフォント」
もアウトです。
getnonfreefonts はそのような「無料だが『フリー』でないフォント」をインストールする
ためのスクリプト(それ自体は LPPL 1.3 以降=『フリー』)なので,
TeX Live ではなく TLContrib に収録されています。
このような「様々な事情で TeX Live には入れないが,パッケージ自体はライセンスの問題がなく,
利用や再配布が自由である」パッケージを代わりに収録して,いわば「TeX Live を補完する」
という目的で作られているディストリビューションが TLContrib です。
----
japanese-otf(-uptex) の場合は
> 「フリーフォントではないヒラギノ専用である」
という理由で TLContrib 行きにしてありますが,これは単に**TeX Live の**基本方針に
少しでも沿うためであって,別のディストリビューションがこのヒラギノ TFM/VF を収録することに
何ら制約があるものではありません。
TLContrib に収録されているもので,特に象徴的な getnonfreefonts を例に説明してみます。
https://www.tug.org/fonts/getnonfreefonts/
TeX Live は書籍の付録として DVD に入る場合もあるため,
「商用再配布されてもライセンス上問題がない」
ものだけを『フリー』とみなし,採用する方針をとっています。この方針では
「商用・非商用を問わず無料で利用可能だが,商用再配布を禁じるフォント」
もアウトです。
getnonfreefonts はそのような「無料だが『フリー』でないフォント」をインストールする
ためのスクリプト(それ自体は LPPL 1.3 以降=『フリー』)なので,
TeX Live ではなく TLContrib に収録されています。
このような「様々な事情で TeX Live には入れないが,パッケージ自体はライセンスの問題がなく,
利用や再配布が自由である」パッケージを代わりに収録して,いわば「TeX Live を補完する」
という目的で作られているディストリビューションが TLContrib です。
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japanese-otf(-uptex) の場合は
> 「フリーフォントではないヒラギノ専用である」
という理由で TLContrib 行きにしてありますが,これは単に**TeX Live の**基本方針に
少しでも沿うためであって,別のディストリビューションがこのヒラギノ TFM/VF を収録することに
何ら制約があるものではありません。
上のコメントの
> 「商用再配布されてもライセンス上問題がない」
> ものだけを『フリー』とみなし,採用する
は若干不正確で,
「利用や改変,商用再配布にライセンスの問題がなく(=フリー)」,かつ
「フリーでない何かを動作に必要としない」ものだけを採用する
に訂正します。過去の事例には以下のようなものもあります。
https://tex.stackexchange.com/questions/49479/package-flashmovie-removed-from-tex-live
https://tex.stackexchange.com/questions/28643/is-the-package-ucharclasses-not-included-in-tex-live
> 「商用再配布されてもライセンス上問題がない」
> ものだけを『フリー』とみなし,採用する
は若干不正確で,
「利用や改変,商用再配布にライセンスの問題がなく(=フリー)」,かつ
「フリーでない何かを動作に必要としない」ものだけを採用する
に訂正します。過去の事例には以下のようなものもあります。
https://tex.stackexchange.com/questions/49479/package-flashmovie-removed-from-tex-live
https://tex.stackexchange.com/questions/28643/is-the-package-ucharclasses-not-included-in-tex-live