名前: SHIMA 日時: 2002-07-20 15:45:38 IPアドレス: 61.124.254.*
>>9359 >> dviout などなら,TTF を使う方法でできますよね。 > > 私もこの方法を紹介しようと思ったのですが、手許の環境に斜体用の JFM ファ > イルが見あたらないので止めてしまいました。昔は TeX 本体(EastWind 版だっ > たかな)と dvioutのどちらにも、斜体・平体・長体用の JFM が一式そろってい > たように記憶しているのですが、ディスク内を探してみたところ、dviout のイ > ンストール先に exjfonts.lzh というアーカイブがあって、その中に長体用と平 > 体用は見つかったのですが、斜体用は含まれていないようです。texmf 以下を探 > してみても、斜体用・平体用・長体用いずれも見あたらずでした。 MS-DOS版にも斜体用のJFMは(多分)存在しません。また、あったかもしれませんが 意味のあるものではありませんした。平体用・長体用は、上下のサイズや左右のサ イズにスケール変換を掛けて生成したもので、もとのJFMからそれを生成するための awk スクリプト(九大の興さんによるもの)が付属しています。斜体では、特に新た なJFMを作成する必要性がなかったので、単に通常のもの(あるいは必要に応じて長 体や平体用のもの)の名前を変更して使っていただけです。 斜体を実現するには、斜体のフォントをどのように作る(得る?)か、ということ と、JFMなどと合わせて TeX でどのように表現するか、ということがあります。 斜体のフォントは、MS-DOS版 dviout では、書体倶楽部フォント(ベクトルフォント) を元に dviout内部で文字を作成していたので、作成するときに一次変換をかけて斜 体を実現しました。その指示とJFMファイル名との関係を記述したものが *.vfn フ ァイルでした。それは Windows 版 dviout でも利用できますが、Windows TrueType フォントに限ってその機能を拡張して設定できるようにしたものが、[WinJFont]のプ ロパティーシートです。JFMの命名規則との関連では、アスキーの「日本語TeXテクニ カルマニュアル」にあるものしか文献がないので、それに習って10度刻みの斜体をサ ポートしています。斜体の角度が大きいときは、H sacle, V sacle, H position, V position(必要なら JFM も)で調整します。 --- 斜体フォントの実現:dviout では、上記の他 ・Windowsのシステムが提供する標準の斜体をサポートしています(cf. 9364)。 ・tpic special の dviout 拡張を使って、文字や画像の任意の一次変換が可能 (LaTeX2eのグラフィックパッケージでは?)なのでそれによって斜体が実現できます。 --- 斜体用のJFM: 実際には本当の意味での斜体用の(すなわちイタリックコレクションが定義された) JFMファイルがあるのかどうかは知りません。必要性はあまりないように思いました。 流布している JFM ファイルは、本質的に異なるものはわずかで、単に名前を付け替 えて同じものを使っているものがほとんどです。たとえば、アスキーTeXの明朝用の min10.tfm とゴシック用の goth10.tfm とは、中身が同じですから、min10.tfm を goth10.tfm と名前を付け替えて使っても何も問題が生じないでしょう。 texmf\fonts\tfm\ptex にある各ファイルのサイズを比べれば、多くの jfm は(欧 文用のtfmファイルと違って)本質的に同じものであることが分かると思います。 その他、東京書籍印刷の小林さんが開発された jis*.tfm 系統などがありますが、 本質的に異なっていて、実際のフォントに則して作られたものとしては、dviout に付属のmspmin.tfm(MS P明朝用)などがあります。dvioutのパッケージには、 個々の和文TrueTypeプロポーショナルフォントに則した JFM ファイルを自動作成 するユーティリティーが備わっています。 > また、それほど複雑な組み版をするのでなければ、min10.tfm あたりを別名した > ものを使って組み版し、その別名と斜体のグリフとを dviout で対応させるとい > う、強引な手もなきにしもあらずでしょう。 以上のようなわけなので、これは強引なやり方ではなく自然なやり方です。 min*.tfm とか jis*.tfm とか、特定の和文フォントに当てられていないバーチャル なフォントが通常は用いられていますので、斜体用のバーチャルフォントがあれば、 その仕様に出来るだけ合わせた(Windowsの標準ならば、例えばMS 明朝の)フォ ントを使うことが可能な仕組みが要請される訳で、dvioutは、それが簡単にできる 仕組みを提供している、ということになります。
この書き込みへの返事: