名前: 安田 日時: 2005-09-03 15:55:50 IPアドレス: 210.159.229.*
>>37763 栗山さん,こんにちは. 前回アップした内容はゴチャゴチャしており 要領よくまとめられず,すみませんでした. >OT2 というエンコーディングは latin 文字(ascii文字)環境 >のみで使われるのかと思っていたのですが、ハイフネーション >パターンは文字コードが直接指定される仕様になっている >(つまり互換モードではない)ということは、直接入力モード >も存在していたのでしょうか。 >(suhyph.tex からの仕様を引きずっているのでしょうか) OT2 は ASCII 文字のみの入力です. Perl 変換版パターン・ファイル本体である ruhyphal.tex において,ハイフネーション・パターンが キリル文字(「^^十六進」に変換されていますが同じ ことです)で記述されていますが, OT2 でも直接 キリル文字を書けるモードがあるということでは ありません. これはキリル文字を直接入力する T2A 用のパターンを 共有しているだけで,OT2 の場合は koi2ot2.tex の なかで入力 ASCII をキリル文字(KOI8-R)に再マッピング することで実現しているわけです. ># どうもオリジナルの OT2 には謎が多いようです。やはり ># 仕様に矛盾があるのでしょうか。 OT2 とは LH フォントの wn* フォントマップそのもの です. マップを見るとわかりますが,ASCII の「b」の位置に キリル文字の「б(ベー)」がマッピングされており, できるかぎり音価の似た文字を対応づける工夫をして います. \fontencoding{OT2}\selectfont で,「b」入力によって 「б」(\font 命令で割り当てたフォントの文字)が 出力されるという単純なものです. ことを複雑にしているのは,「ж」などのような, ASCII の制御コードの位置(八進コード 031,十六進 コード 0x19)にマッピングされるのに対し,通常 2文字の ASCII文字(「zh」)で入力する文字の 存在だと思います. OT2 の原則でいうと「ж」を出力したいとすると 0x19 コードを入力するということになり, (prezhde ではだめで、pre[0x19]de と入力) 普通じゃないですよね. (TeX の原稿入力では「pre^^Yde」とするので しょうけど) では「zh」を入力するとなぜ「ж」が出力されるのかと いうと,これは OT2 のエンコーディングスキームでは なく,フォントにおける合字の定義(METAFONT ligtable)に,z と h の合字はжとあるからです. CTAN 配布の OT2 用のロシア語ハイフネーション・ パターンにおいて \patterns{・・ z8h ・・} や \catcode `\^^d6=13 \def ^^d6{zh} % \cyrzh が無効化されているのは,おそらく,マップに見える OT2 のストレートな仕様に則り,合字による変化球の 打ち方は(ヒントを示して)ユーザに任せたため なのだろう,と想像します. >これは私の最初の疑問と通じるでしょうか。AMS 上での使い方 >が分かっていないせいかもしれませんが、何か特別の決まりが >あったのでしょうか。 「何か特別の決まり」は,上記 OT2 エンコーディングを 前提とした AMS,pTeX-babel(というか LaTeX 標準と なった cyrillic bundle)のような style の,ユーザ 利用上の仕様のことだと受け取りますが,それぞれ cyracc.def, ot2enc.def にその違いを見ることが できます. AMS は \input cyracc.def \font\tencyr=wnr10 \def\cyr{\tencyr\cyracc} と書くだけで \cyr 以降で OT2 エンコーディングの キリルフォントを出力することができるスタイルです. AMS の babel との主な違いとしては, - AMS では \cprime などキリル文字入力のための特別な 命令がサポートされていること, - ロシア語ハイフネーションを指示しないこと, だと思います. 栗山さんがおっしゃったように,OT2 が「謎」や 「矛盾」に見えてしまうのは,以上のようなことが 背景にあるのだと思います. >そうしますと、やはり最初に戻って安田さんの ruhyphen7 を >使わせていただくのが、現在最良の方法のようですね。 ありがとうございます. でも ruhyphen7.tex は試行錯誤しながら自分の ために作ったものですので,今となっては不用意な コードも含まれており,見直しが必要だと感じて います. アプローチの仕方としてはなるたけオリジナルに手を 加えない土村さんのやり方の方がスマートなのです. とりとめもなく書いてしまいましたが, 私ももう少し自分なりに整理したいと思います. それではご自愛ください.
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