XyMTeX/LaTeXによる新著紹介

名前: 藤田
日時: 2013-07-18 09:28:09
IPアドレス: 61.124.95.*

藤田@湘南情報数理化学研究所です. 数学と化学との学際領域に関する研究をまとめて,次の書籍を 上梓しました. S. Fujita, Combinatorial Enumeration of Graphs, Three-Dimensional Structures, and Chemical Compounds (University of Kragujevac, Kragujevac, 2013). この書籍は,多くの有機化合物の構造式を含んでいますが,すべてXyMTeXで 組版したものです.また多くの数式を含んでいるので,XyMTeX-LaTeXによる 版下作成の強みを最大限に活用することができました. (ご参考までに) この書籍の内容ですが,とくに,第7章 (Proligand Method) で,有機立体化学 を取り扱えるようにした,新しい組み合わせ論的数え上げ法を取り扱っています. この方法は,有名なポリアの定理がそのままでは有機立体化学を取り扱えない という欠点を克服したものです. なお,ポリアの定理の最初の報告は1937年にドイツ語で出ていますが,50年後に 英訳本が出版されるというほど重要なものです. G. Polya and R. C. Read, Combinatorial Enumeration of Groups, Graphs, and Chemical Compounds (Springer, 1987). 両者の書名を比べるとわかるように,藤田本では,化合物(chemical compounds)を 三次元構造(three-dimensional structures)とみているのに対して,Polya-Read本では, 化合物をグラフ(graphs)とみています.さらに藤田本では,グラフを三次元構造が 縮退したものとして取り扱うことができることを示しています.両者の立場の違いは, 有機立体化学を議論するうえで,決定的な意味をもっています.この違いについては, 次の論文のPDFファイルが無料で手に入るのでご覧ください. S. Fujita, Sphericities of Cycles. What Polya's Theorem is Deficient in for Stereoisomer Enumeration (Croat. Chem. Acta, 79, 411--427 (2006)).

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