名前: 安田 亨 日時: 2006-04-19 10:14:39 IPアドレス: 59.147.230.*
>>42574 数学の伝統的な表現は, 命題の同値な言い換えには\Leftrightarrow を使いますが,式の変形においては 「証明すべき不等式を同値変形する」場合を除いて, 単なる式の整理をするときには矢印を使いません. 微分方程式の変形でも同じであり,ここで使うのは伝統的でない表現です. 私のいる業界には「単なる式の整理に\Leftrightarrowをずっと並べて いき,最後に∴で答えを書く」という流儀で書く「人気講師」がいたり します.生徒は一生懸命その書き方をまねます.生徒の中には \sqrt{x+2}=x \Leftrightarrow x+2=x^2 と書いたりするものがいるので,使い方が違うと注意(場合によっては減点)します. これはx\geq 0 をつけないと同値になりません. 「評判がよい」というのは,先生が人気がある証拠です. それが,教師の趣味の部類に属することとは知らないで, 特別なことを習ったと喜び,ちょっと専門家気取りでいるわけです. その学生が外へ出て行って,発表したとき, 「お前はなぜ,無用な矢印を書くのか」 と言われて個人的な趣味であると気づくわけです. 旺文社「入試問題正解」で,単なる式変形で\Leftrightarrow をあまりに多用する執筆者には注意します. 過去の例では1題に32個の\Leftrightarrowを並べた人がいて, 取るように意見したのですが,抵抗したので, (原因はこれだけではありませんが) 翌年から執筆メンバーからはずしました. 自分の学生が先生になったときとか,いろいろな影響を考えれば 個人の趣味は押さえるようにするのが教育的と考えます. もっとも,その書き方が世界標準になる日がくるなら別で, 皆で広げていけばよろしいと思いますが.
この書き込みへの返事: