jsarticle.cls と\footnoteの番号について

名前: 中野良弘
日時: 2006-02-10 16:37:30
IPアドレス: 219.60.122.*

はじめまして。内実が分からないままにTeXを使っております。 私のパソコンにインストールしてあるTeXでは脚注ラベルが番号でなくアルファベットに なっております。目下、脚注の多い数学書を翻訳中ですが、その故か27番目の脚注を入 れようとしたら"LaTeX Error:Counter too large"というメッセージがでて失敗します。 TeXのインストールは貴著書の改訂第3版のCD-ROMによったと思いますが、 TeXインストーラー3だったかも知れません。 そこで質問:   1.脚注のラベルを番号に代えるにはどうすればよいのでしょうか?   2.脚注の数の制限をはずす方法はないのでしょうか?   3.ドキュメンtクラスjsarticle.clsが拒否されるのは何故でしょうか? \documentclass[a4paper,10pt]{jarticle} \usepackage{amsmath} \usepackage{amssymb} \usepackage{amsfonts} \usepackage{pifont} \usepackage[dvips]{color,graphicx} \setlength{\textheight}{22.5cm} \setlength{\textwidth}{15cm} \setlength{\topmargin}{-0.5cm} \setlength{\oddsidemargin}{-0.2cm} \renewcommand{\thefootnote}{\alph{footnote}} \renewcommand{\theenumi}{\Roman{enumi}} \renewcommand{\theenumii}{\arabic{enumii}} \begin{document} \begin{center} \Large{\"{U}ber formal unentsheidebare S\"{a}tze der \textit{Principia mathematica} und verwandte Systeme I}\footnote{\textit{1930b}として現れたこの研究結果の要約を参照。} \vspace{1zw} \hspace{2zw}\large{(\textit{Principia mathematica}および類縁体系における 形式的に決定不能な諸命題について I)} Kurt G\"{o}del (\textit{1931}) \end{center} \section{} 厳密さに向かっての数学の発展は、周知の如く証明が少数の機械的規則に従って遂行されるように、そのかなりの部分を形式化するにいたっている。現在のところ最も徹底した形式体系は、一つは\textit{Principia mathematica(PM)}\footnote{\textit{Whitehead und Russell 1925}. 体系\textit{PM}の公理には特に次のものも含める:無限公理(厳密に可附番個の個物が存在するという形で)、還元公理、(全てのタイプに対する)選択公理。}、他はZermelo-Fraenkelの(J.von Neumann によってさらに精錬された)集合論の公理系\footnote{\textit{Fraenkel 1927, von Neumann 1925, 1928a, 1929}参照。 引用文献で与えられている集合論の公理のほかに、形式化を完全にするためには、論理計算の公理と推論規則を付け加えねばならないということを注意しておく。--- 以下の考察は近年 D.Hilbert とその共同研究者によって設定された形式体系に対しても(今までに提出された限り)有効である。\textit{Hilbert 1922, 1923, 1928, Bernays 1923, von Neumann 1927, Ackermann 1924} 参照。}である。この二つの公理系においては、今日数学で使われる証明方法の全てがそこで形式化される、すなわち僅かな公理と推論規則に帰着できるのである。このことから、これらの体系において形式的に表現できるような全ての数学的な問題を決定するにもこれらの公理と推論規則で十分ではないかという推測が生まれてくる。しかし実はそうではなくて、普通の整数の理論からの比較的簡単な問題\footnote{すなわち、もっと厳密に云えば、論理定項:のほかに自然数に関わる$+$(加法)、$\cdot$(乗法)以外に他の概念を持たない決定不能な命題がある。ただし、前置$(x)$も自然数の上だけを渉る。}ですら、これら引用されている二つの体系において公理から決定できないようなものがあるということが以下において示される。この状況はこれらの体系の特殊な性格によるものではなく、有限個の公理の追加によってこれら二つの体系から生ずる体系の全てが属するようなきわめて広い形式体系のクラスに対しても\footnote{その際\textit{PM}の場合、タイプを変えるだけでお互いから得られるということのないような公理だけを異なるものと数える。}、脚注dで挙げられたような類の命題で偽なものが公理の追加によって証明可能になってしまうようなことがない限り、成り立つのである。 詳細に入る前に、証明の主要な考えを、当然ながら厳密さにこだわらないでスケッチしておこう。形式体系(われわれはここでは体系\textit{PM}に特定する)の式は外見上基本記号(変項、論理定項および括弧あるいは分離記号)の列と見なされ、基本記号の\underline{どんな}列が有意味な式でありどんな列がそうでないかが容易に識別できるものとする\footnote{われわれはここでも以下においても“\textit{PM}の式”といえば常に略記しないで(すなわち定義を使わないで)書かれた式と理解する。定義は短縮した書き方のためだけのものであり、したがって原理的には不要なものである。}。同様に証明は形式的立場からは(一定の指示可能な特徴を備えた)式の有限列に他ならない。メタ数学的考察の場合は、もちろんどんな対象を基本記号として取るかはどうでもよいことである。そこでわれわれとしては自然数\footnote{すなわち、基本記号を一対一に自然数に模写する。(S.179で実施されていることを参照)}をそのようなものとして採用することにする。これに応じて式は自然数の有限列\footnote{すなわち、数列の切片に自然数をあてがうこと。(数はもちろん空間的な順序におくことはできない。)}であり、証明図は自然数の有限列の有限列である。これによってメタ数学的概念(命題)は自然数についての、あるいは自然数の列についての概念(命題)となり、そして(少なくとも部分的には)体系\textit{PM}そのものの記号の中で表現できることになる。特に“式”、“証明図”、“証明可能な式”といった概念は体系\textit{PM}内で定義できる、すなわち、たとえば、内容的に解釈して、$v$は証明可能な式である、と述べているような、一つの(数列のタイプからの)自由変項をもった\textit{PM}の式$F(v)$を与えることもできる。いまや体系\textit{PM}の決定不能な一つの命題、すなわち$A$も$non$-$A$も証明可能でないような命題$A$を次のようにして作ることができる: 自然数のタイプ(クラスのクラス)の自由変項を一つだけもった\textit{PM}の式を\underline{クラス記号}と呼ぶことにしよう。何らかのやりかたでクラス記号が一列に順序付けられたと考え\footnote{たとえば項和の増える順と同じ項和なら辞書式順序で}、$n$-番目を$R(n)$で表す、ここで“クラス記号”という概念ならびに順序関係$R$が体系\textit{PM}において定義できるということに留意する。$\alpha$を任意のクラス記号とする;自由変項に自然数$n$に対する記号を代入することによってクラス記号$\alpha$から得られる式を$[\alpha;n]$で表す。三項関係$x=[y;z]$も\textit{PM}内で定義できることが分かる。いま自然数の一つのクラス$K$を次のように定義する: $$\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad n\,\in\,K\,\equiv\,\overline{\mathrm{Bew}}\left[R(n);n\right]\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\qquad(1)$$ (ここで$\mathrm{Bew}\;x$は$x$が証明可能な式であるということを意味する)\footnote{上付き横棒は否定を表す。}。この定義に現れる概念は全て\textit{PM}において定義できるから、それらから合成された概念$K$も然り、すなわちクラス記号$S$が存在して\footnote{式$S$を実際に書き下すことは、やはり全然困難ではない。}、式$\left[S;n\right]$は内容的には、自然数$n$が$K$に属するということを述べている。$S$はクラス記号として一定の$R(q)$と一致する、すなわち一定の自然数$q$に対し $$S\,=\,R(q)$$ が成り立つ。いま、命題$\left[R(q);q\right]$は\textit{PM}において決定不能であるということが示される\footnote{“$\left[R(q);q\right]$”(または同じことだが“$\left[S;q\right]$”)は単に決定不能命題の\underline{メタ数学的書き方}に過ぎないということに注意する。けれども、式$S$を見つけるや否や、当然数$q$も決まり従って決定不能命題そのものがエフェクティブに書き下すことができる。}。何故なら命題$\left[R(q);q\right]$が証明可能であったとする、そのときそれはまた真でもある、すなわち上のことによって$q$は$K$に属することになる、すなわち(1)により$\overline{\mathrm{Bew}}\left[R(q);q\right]$が成り立って、前提に矛盾する。反対に$\left[R(q);q\right]$の否定が証明可能とすれば、$\overline{q\in K}$となる、すなわち、$\mathrm{Bew}\left[R(q);q\right]$が成り立つ。したがって$\left[R(q);q\right]$がその否定とともに同時に証明可能となるが、これは不可能である。 この推論とRichard の逆理との類似が目につく;“嘘つき”の逆理との近い類縁もある\footnote{一般にどんな認識論的逆理もこの種の決定不能性証明に利用できる。}、というのは決定不能命題$\left[R(q);q\right]$はまさしく、$q$が$K$に属す、すなわち(1)により、$[R(q);q]$は証明可能でないと云っているからである。したがってわれわれは、自分自身の証明不能性を主張している一つの命題を目の前にしているのである\footnote{このような命題は見かけと違って循環性自体を持っていない、というのは先ずそれは一定の式(すなわち定まった設定のもとでの辞書式順序で$q$-番目の式)の証明不能性を主張し、やっと後になって(いわばたまたま)、この式がまさしく自分自身を述べているようなものであることが判明しているのである。}。上に説明された証明方法は明らかに、第一に内容的な意味で上の考察に現れる諸概念(特に“証明可能な式”という概念)を定義するのに十分な表現手段をもっており、さらに第二に任意の証明可能な式はまた内容的にも正しい、という二つの条件を備えている任意の形式体系に適用できる。以下で上に述べた証明を厳密に実行する中で今挙げられた仮定の二番目を純粋に形式的でずっと弱いもので代えるという課題を持つことになるだろう。 $[R(q);q]$はそれ本来の証明不能性を主張するという観察から直ちに$[R(q);q]$は正しいということが分かる、何故なら$[R(q);q]$は(決定不能だから)まさしく証明不能で\underline{ある}からである。\underline{体系\textit{PM}において}決定不能な命題はだからメタ数学的考察によってそれでも決定される。この奇妙な状況の厳密な分析は、形式体系の無矛盾性証明に関して思いがけない結果に導くが、4節(定理 XI)においてこのことを詳しく論ずる。 \begin{center}\section{}\end{center} さて上にスケッチした証明の厳密な実行に進むことにして、先ずそれに対し決定不能な命題の存在を証明しようとしている形式体系$P$の正確な記述を与える。$P$は本質的にはPeanoの公理に$PM$の論理を設定して得られる体系である(個物として数、無定義基本概念として後続関係)\footnote{Peanoの公理やその他の全ての追加が\textit{PM}にもたらす変更は証明の簡素化に必要なだけで原理的には不要である。}。 体系$P$の基本記号は次の通り: I. 定項:“$\sim$”(でない)、“$\vee$”(または)、“$\Pi$”(全ての)、“$0$”(ゼロ)、“$f$”(の後者)、“(”、“)”(括弧)。 II. 第一タイプの変項(個物、すなわち0を含めた自然数に対する):“$x_1$”、“$y_1$”、“$z_1$”、$\cdots$。 \hspace{1.3zw}第二タイプの変項(個物のクラスに対する):“$x_2$”、“$y_2$”、“$z_2$”、$\cdots$。 \hspace{1.3zw}第三のタイプの変項(個物のクラスのクラスに対する):$"x_3",\,"y_3",\,"z_3",\,\cdots$。 等々、タイプとして各自然数について\footnote{各々の変項タイプには可付番無限個の記号があるものとする。}。 注:二変項または多変項関数(関係)に対する変項は基本記号としては余分である、というのは関係は順序対のクラスとして、また順序対はクラスのクラス、たとえば順序対$a,b$は$((a),(a,b))$によって定義できるからである。ただしここで$(x,y)$、$(x)$はその唯一の元を$x$、$y$あるいは$x$とするクラスを意味する\footnote{非斉次的な関係もこのやり方で定義できる、たとえば個物とクラスの間の関係は$((x_2),((x_1),x_2))$なる形の元からなるクラスとして。}。 $a$が0または第一タイプの変項として $$a,\,fa,\,ffa,\,fffa,\,\cdots \mbox{等}$$ なる形の記号の組み合わせを\underline{第一タイプの記号}という。前者の場合そのような記号を\underline{数記号}という。$n>1$の場合はn-タイプの記号はn-タイプの変項と同じことであるとする。$b$をn-タイプ$a$を(n+1)-タイプの記号として、$a(b)$なる形の記号組み合わせを\underline{原始式}とよぶ。全ての原始式が属し$a$、$b$と共につねに$\sim(a)$、$(a)\vee(b)$、$x\Pi(a)$($x$は任意の変項)も同時に属しているような最小のクラス\footnote{この定義(および後に現れる類似の定義)に関しては、\textit{$\L$ukasiewicz und Tarski 1930} 参照。}を\underline{式}のクラスという\footnote{したがって、$x$が$a$に現れていないかまたは自由変項として現れていないときでも、$x\Pi(a)$は式である。この場合もちろん$x\Pi(a)$は$a$と同じことを意味する。}。$(a)\vee(b)$を$a$と$b$からの\underline{選言}、$\thicksim(a)$を$a$の\underline{否定}、$x\Pi(a)$を$a$の\underline{一般化}という。自由変項の現れていない式を\underline{命題式}と呼ぶ(自由変項は周知のやり方で定義される)。ちょうどn個の自由個物変項を持ち(ほかに自由変項を持たない)式を\underline{n-項関係記号}といい、n=1の場合\underline{クラス記号}とも云う。 Subst $a\binom{v}{b}$ (ここで$a$は式、$v$は変項、$b$は$v$と同じタイプの記号とする)によって、$a$の中で自由変項として現れている全ての$v$を$b$で置き換えるとき、$a$から生ずる式を意味するものとする\footnote{$v$が$a$の中で自由変項として現れていないときは、Subst $a\binom{v}{b}\,=\,a$となる。“Subst”はメタ数学の記号であることに注意。}。式$a$が、他の式$b$に現れている全ての変項のタイプを等しい数だけ引き上げることによって、$b$から生ずるとき、$a$は$b$の\underline{タイプ引き上げ}という。 以下の式(IからVまで)を\underline{公理}と呼ぶ(ここで通例どおり定義された略記:$.$、$\supset$、$\equiv$、$\left(Ex\right)$、$=$\footnote{$x_1=y_1$は、\textit{PM},I,*13、におけるように $x_2\Pi(x_2(x_1)\supset x_2(y_1))$によって定義される(より高いタイプについても同様)}および括弧の省略についての普通の取り決めを使っている);\footnote{書かれたスキーマから公理を得るためには、したがって(II、III、IVにおいて許された代入を実行した後)なお次のことをせねばならない:\begin{enumerate}\item 略記をなくす、\item 略された括弧を付け加える。\end{enumerate} このようにして得られた表示は上記の意味で“式”であるはずだということに注意せよ。(182頁のメタ数学的概念の厳密な定義も参照せよ。)} \begin{enumerate}\item \begin{enumerate}\item $\sim(fx_1\,=\,0)$, \item $fx_1\,=\,fy_1\,\supset\, x_1\,=\,y_1$, \item $x_2(0)\,.\,x_1\Pi\left(x_2(x_1)\,\supset\,x_2(fx_1)\right)\,\supset\,x_1\Pi\left(x_2(x_1)\right)$. \end{enumerate} \item $p,\,q,\,r$に任意の式を代入することによって、次のスキームから得られる式. \begin{enumerate} \item $p\vee p\,\supset\,p$、 \item $p\,\supset\,p\vee q$、 \item $p\vee q\,\supset\,q\vee p$、 \item $(p\supset q)\,\supset\,(r\vee p\supset r\vee q)$.  \end{enumerate} \item 二つのスキーマ \begin{enumerate} \item $v\Pi(a)\,\supset\,\mathrm{Subst}\,a\binom{v}{c}$ \item $v\Pi(b\vee a)\,\supset\,b\vee v\Pi(a)$ \end{enumerate} の一つから$a,\,v,\,b,\,c$に対し次の代入(および(1)においては“Subst”で表された演算)を実施することによって得られる式: $a$には任意の式、$v$には任意の変項、$b$には、$v$が自由変項として現れていない式、、$c$には$v$と同じタイプの記号、ただし$c$は、$a$において$v$が自由変項として現れている位置で束縛されているような変項を持たないと仮定する\footnote{したがって$c$は変項か0あるいは$f\ldots fu$なる形の記号である、ただし$u$は0か1-タイプの変項とする。“$a$のある位置で自由(束縛)”という概念については\textit{von Neumann 1927},I,A5を参照。}。 \item スキーマ (1) $(Eu)(v\Pi(u(v)\,\equiv\,a))$ \noindent から$v$と$u$にはそれぞれタイプ$n$と$n+1$の任意の変項をそして$a$には$u$を自由変項として持たない任意の式を代入することによって生ずる任意の式。この公理は還元公理(集合論における包括公理)である。 \item 次の式からタイプ引き上げによって生ずる任意の式(およびこの式そのもの): (1) $x_1\Pi\left(x_2(x_1)\,\equiv\,y_2(x_1)\right)\,\supset\,x_2=y_2$ \noindent この公理は、クラスがその元によって完全に決まるということを主張する。 \end{enumerate} $a$が式$\left(\sim(b)\right)\vee(c)$であるとき、(あるいは、$c$が式$v\Pi(a)$で、$v$は任意の変項を表すとき)、$c$は$a$と$b$からの(あるいは$a$からの)\underline{直接帰結}という。\underline{証明可能な式}のクラスとは公理を含み“直接帰結”という関係で閉じている、最小のクラスと定義する\footnote{われわれは起り得る全ての代入をすでに公理そのものの中で実施しているから、代入規則は不要である。}。 体系$P$の基本記号に次のように自然数を1対1に対応させる: $$\begin{array}{l} "0"\,\ldots\,1\qquad"f"\,\ldots\,3\qquad"\sim"\,\ldots5\\ "\vee"\,\cdots\,7\qquad"\Pi"\ldots\,9\qquad"("\,\ldots\,11\\ \qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\quad")"\,\ldots\,13 \end{array}$$ さらにn-タイプの変項には$p^n$($p$は素数$>13$)なる形の数を対応させる。これによって各有限基本記号列には(したがって各式にも)自然数の有限列が1対1に対応する。$p_k$は$k$-番目の素数として、数列$n_1,\,n_2,\,\ldots,\,n_k$に数$2^{n_1},\,3^{n_2},\,\cdot\,\ldots,\,\cdot\,p_k^{n_k}$を対応させることによって、有限自然数列を自然数に写す。基本記号(乃至は基本記号列)$a$に対応する数を$Phi(a)$で表すことにする。いま基本記号またはそれらの列のクラス、あるいはそれらの間の関係$R(a_1,a_2,\ldots,a_n)$が与えられているものとする。われわれはそれに自然数の間のクラス(関係)$R^{\prime}(x_1,x_2,\ldots,x_n)$を次のように対応させる;$x_i=\Phi(a_i)\,(i=1,2,\ldots,n)$かつ$R(a_1,a_2,\ldots,a_n)$が成り立つような$a_1,a_2,\ldots,a_n$が存在するとき、かつそのときに限り、$R^{\prime}(x_1,x_2,\ldots,x_n)$は成り立つ。このやりかたでこれまで定義されたメタ数学的概念、例えば“変項”、“式”、“命題式”、“公理”、“証明可能な式”等に対応する自然数のクラスや関係を同じ語を使って太字で表すことにする。例えば、体系$P$において決定不能な問題がある、という命題は次のように云い表される:\textbf{命題式} $a$が存在して、$a$も$a$の\textbf{否定}も\textbf{証明可能な式}ではない。 いまここで、形式体系$P$とは関わりのない、一つの中間考察を挿入することにして、まず次の定義を与えよう:数論的関数\footnote{すなわち、定義域が非負整数(あるいはそれらのn-組)のクラスでありそしてその値は非負整数である。}$\phi(x_1,x_2,\ldots,x_n)$は、全ての$x_1,x_2,\ldots,x_n$に対し次のことが成り立つとき、数論的関数$\psi(x_1,x_2,\ldots,x_{n-1})$と$\mu(x_1,x_2,\ldots,x_{n+1})$\underline{とから帰納的に定義される}という: \vspace{1zw} 全ての$x_2,\ldots,x_n,k$に対し\footnote{ラテン小文字(添字とともに)は以下では(特に断らない限り)常に非負整数に対する変項である} $$\begin{array}{rcl} \qquad\qquad\qquad\qquad\qquad\phi(0,x_2,\ldots,x_n)&=&\psi(x_2,\ldots,x_n)\\ \phi(k+1,x_2,\ldots,x_n)&=&\mu(k,\phi(k,x_2,\ldots,x_n),x_2,\ldots,x_n)\,\qquad\qquad\qquad\quad\;(2) \end{array}$$ 数論的関数$\phi$で終わる数論的関数の有限列$\phi_1,\,\phi_2,\,\ldots,\,\phi_n$で、この列の各$\phi_k$が先行するものの二つから帰納的に定義されるかあるいは先行するどれかから代入によって得られるようなものであるかあるいは定数または後者関数$x+1$となっているようなものがあるとき、$\phi$は\underline{帰納的}であるという。一つの帰納的関数に属する$\phi_i$の最短の列の長さをその\underline{位数}という。自然数の間の関係$R(x_1,\ldots,x_n)$は、全ての$x_1,\,x_2,\,\ldots,\,x_n$に対し \[R(x_1,\ldots,x_n)\,\sim\,[\phi(x_1,\ldots,x_n)\,=\,0]\] であるような 帰納的関数$\phi(x_1,\ldots,x_n)$があるとき、\underline{帰納的}であるという。 \end{document} \footnote{\label{1}内容的(とりわけメタ数学的な)考察に対しては全てHilbertの記号法を使う。\textit{Hilbert und Ackermann 1928}参照。} \footnote{内容的(とりわけメタ数学的な)考察に対しては全てHilbertの記号法を使う。\textit{Hilbert und Ackermann 1928}参照。} \footnote{より詳しくは:先行する関数の一つの空所に先行するもののどれかを代入することによって、例えば$\phi_k(x_1,x_2)=\phi_p\left[\phi_q(x_1,x_2),\phi_r(x_2)\right]\;(p,q,r<k)$。左辺の全ての変数が右辺に現れていなければならないということはない(帰納スキーマ(2)でも同様)。}

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