名前: 栗山雅俊 日時: 2005-05-24 19:03:46 IPアドレス: 218.217.0.*
Babelについての検証が遅れておりましたが、今回は一昨年に 作ったインストールガイドの更新という形での報告になります。 誤り、改善点その他ご意見を頂ければ幸いです。 記述がごちゃごちゃしていてわかりづらいかも知れません。記述に 関するご意見も頂ければと思います。 ----------------------------------------------------------------------- Babelを使った最新版LaTeX2e、pLaTeX2eでの多言語環境構築 -- pTeX-p3.1.4以降(Win・UNIX・Mac)-- 2005.5.23 第3版 0. はじめに pTeXの8ビットエンコード対応に伴い、日本語を含む多言語環境が飛躍的に 充実してきました。ここではBabelパッケージを使った主に印欧語と日本語の 混在環境の構築について記述します。 今回からはギリシャ語、ロシア語に止まらずBabelで取り扱うことのできる 主な言語も含めることにしました。ただし私自身は当然すべての言語を解する 能力はない(専門はギリシャ古典です)ので、それぞれの言語について誤り、 バグ等お気づきの点があればご指摘いただければ幸いです。 0-1. ここで扱っていない言語 現在の Babel + 日本語環境ではそのままでは CJKV その他アジア系言語、 アラビア語等は使用できません。また Babel + ヘブライ語については本稿で 取り扱っていません(今後の課題とさせて下さい)。 CJK(日中韓)パッケージ、ArabTeX(ヘブライ語も使用可)等についての 詳細は A-1.をご覧下さい。 0-2. Mac OS について 残念ながら筆者は Mac については疎く、手元にテスト環境を所持しており ません。OS X 以降は基本的にUNIX系のOSとほぼ同じ作業になると思われます が、もしMac特有の作業や留意点等があればご教授下さい。 (できるだけ反映させたいと思います) Mac OS 9 以前で MacpTeX を使用する場合はフォント生成機能がないため、 ギリシャ語やキリル文字系諸言語を使うことは難しいと思われます。 1. TeXシステムのインストール TeXシステムについては多くの方が優れたインストールガイドを作成されて います。以下に主なサイトを揚げておきます。 1-0. 『[改訂第3版] LaTeX2e美文書作成入門』からのインストール TeXシステムを一から構築するのは大変と思われる方は、奥村晴彦著『[改訂 第3版]LaTeX2e美文書作成入門』(技術評論社 2004)付属のCDからインストー ルするのが便利です(Win、Mac、UNIX対応)。 http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/bibun3/ (サポートページ) ただし、版によっては収録されているバージョンが古いものもあるので、その 場合は以下のサイトからのインストールになります。 1-1. すべてのOSに対応 ・TeX Wiki(奥村さん・多くのOS別インストールガイドあり) http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/ ・TeX「超」入門(旧FTEXでおなじみ・トニイさんのページ) http://www.nsknet.or.jp/~tony/TeX/texindex.html ・そあちょう(Thor TeX PukiWiki・渡辺徹さんのページ) http://tex.dante.jp/typo/ 1-2. 各OS別のインストール 1-2-1. Windows (角藤版 W32TeX) ・Windows 95/98/Me/NT/2000/XP における TeX システムのインストール (dvioutの開発者・大島さんのページ) http://akagi.ms.u-tokyo.ac.jp/texinst98.html ・pLaTeX for Windows(詳しい解説・大石さんのページ) http://www.grn.mmtr.or.jp/~ohishi/tex/index.html ・ ワープロユーザーのためのLaTeX入門(初級者向け・大友さんのページ) http://www.klavis.info/texindex.html ・特にdvioutについて(大島さん) http://akagi.ms.u-tokyo.ac.jp/tex_dvioutw.html ・特にGhostscriptについて(堀田さん) http://auemath.aichi-edu.ac.jp/~khotta/ghost/index.html 現在は W32TeX 用インストーラが開発されています(便利です)。 ・TeXインストーラ3(阿部さん) http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/index.html ・「Texインストーラ3」セットアップマニュアル(石原さん) http://www.iplab.cs.tsukuba.ac.jp/~ishihara/platex_install.htm ・角藤さんの公式ページ(W32TeX) http://www.fsci.fuk.kindai.ac.jp/~kakuto/win32-ptex/ 1-2-2. Mac OS ・MacpTeXとその周辺(内山さんのページ) http://macptex.appi.keio.ac.jp/~uchiyama/macptex.html ・pTeX Package for MacOSX(桐木さんのページ) http://www.r.dendai.ac.jp/~kiriki/ptex/ ・EasyPackage for Mac OS X(白土さんのページ) http://www.ie.u-ryukyu.ac.jp/darwin2/ 1-2-3. UNIX(Linux、FreeBSDなど) 基本的に個別ディストリビューション毎の対応になるかと思いますが、提供 されているTeXシステムが古い可能性があります。teTeX-2.0.2以前では Babel やcbgreek、lhフォント等、主要パッケージの個別アップデートが必要な場合 があります。pTeXは p3.1.4 以降が必須です。 (teTeX-3 の利用をおすすめします) teTeX-3.0 (+ pTeX-p3.1.8〜) 導入の場合は土村さんのパッチが便利です。 ・ptetex -- teTeX 用日本語パッチ集(ptetex3) http://www.nn.iij4u.or.jp/~tutimura/tex/ptetex.html teTeX-2.0.2 (+ pTeX-p3.1.5) をソースからコンパイルする方法は以下を参照 下さい。 ・Make - TeX Wiki http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?Make 2. Babelシステムのインストール 2-0. 新 pTeX とBabel - TeX Wiki とりあえず Babel を動かしてみたい、どんなものか試してみたいと思われる 方は TeX Wiki の『新 pTeX とBabel』が便利です。Windows環境であればほぼ 間違いなく主な言語(英・独・仏・露・希)が利用できるようになります。 (UNIX や Mac の方は若干必要(不必要)な作業が異なる可能性もあります) http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?%E6%96%B0%20pTeX%20%E3%81%A8Babel 2-1. 必要なパッケージ 以下に必要なパッケージを挙げます。 2-1-1. すべての言語に必要 パッケージ 必要バージョン デフォルトで入っているシステム ・pTeX p3.1.4以降 W32TeX・teTeX-3.0(ptetex3) ・Babel ver.3.8以降 W32TeX・teTeX-3.0 2-1-2. ギリシャ文字・キリル文字を使う場合に必要 パッケージ 必要バージョン デフォルトで入っているシステム ・lhfont ver.3.4以降 teTeX-2.0.2、teTeX-3.0(キリル文字用) ・cbgreek 2004.8.2版以降 teTeX-3.0(ギリシャ文字用) ・teubner ver.2.2b以降 なし(古典ギリシャ語用・オプション) ・elhyphen ver.4.0以降 なし(ギリシャ語汎用・オプション) 2-1-3. ハイフネーションファイルがデフォルトで添付されていない言語 パッケージ 必要バージョン ・**hyph*.tex 個別言語用のハイフネーションファイル(適宜) ドイツ語、フランス語などのメジャーな言語は、基本的にどのシステムでも デフォルトで添付されているようです。 現在の角藤版 W32TeX、teTeX-3.0ではロシア語、ウクライナ語を始めかなり 多くのハイフネーションファイルがデフォルトで添付されています。 これらの一部または全部が事前にインストールされていない場合は、各サイト から入手する必要があります。 2-2. 主なパッケージのダウンロード先 最新版 W32TeX では(1)が、teTeX3 では(1)(2)(5)がデフォルトで 存在するのでダウンロード不要です。teTeX-2.0.2以前をお使いの方は、下記 の一部またはすべてを更新する必要があるかもしれません。 なお、ギリシャ語やキリル文字を必要としない場合は、(2)〜(5)のダウン ロードは不要です。 (1)Babelソースファイル(babel以下すべてをDL) ftp://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/macros/latex/required/babel/ (2)ギリシャ文字用フォント(cbgreek・cbディレクトリ以下すべてをDL) ftp://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/fonts/greek/cb/ (3)ギリシャ語用ハイフネーションファイル(elhyphen以下すべてをDL) ftp://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/language/hyphenation/elhyphen/ (4)ギリシャ語用拡張パッケージ(teubner以下すべてをDL) ftp://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/macros/latex/contrib/teubner/ (5)キリル文字用フォント(lhフォント"lhfnt-*.tar.gz"最新版をDL) ftp://ftp.vsu.ru/pub/tex/font-packs/lhfnt/ (6)各言語のハイフネーションファイル(必要なものをDL) ftp://www.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/language/hyphenation/ なお、一部のハイフネーションファイルでは /CTAN/language/hyphenation 以外の場所におかれているものがあるので、検索には以下のサーチエンジンを 使います。 http://www.ctan.org/search/?action=/index.html 2-3. インストール 上記のサイトより入手したものをインストールします。 インストールするディレクトリ(フォルダ)は以下の通りです。 (/usr/local以下にインストールした場合) UNIX系の場合はディストリビューション(やインストール方法)によっては /usr 以下、あるいは /usr/local/teTeX 以下等にインストールされるので、 適宜読み替えて下さい。 Win32版ではできるだけ /usr/local 以下にインストールして下さい。 ルート ├ usr ├ : : ├ local : ├ bin : ├ share : : ├ texmf ├ texmf-config(teTeX-3のみ存在) ├ texmf-dist (teTeX-3のみ存在) ├ texmf-local (ない場合は作る) : ├ : ├ fonts : ├ : ├ source : │ ├ cbgreek ← (2)をコピー : │ ├ lh ← (5)を解凍し、コピー : │ : ├ tfm ├ ├cbgreek ← (2)のうち"tfm"ディレクトリをコピー ├ ├ source │ ├ generic │ ├ babel ←(1)babelソース&マニュアルをコピー ├ tex │ ├ ├ generic ├ babel ← babel本体 │ (└japanese 3-4-2.参照) ├ config ← language.datの場所 ├ elhyphen ← (3)をコピー ├ german ├ hyphen ← (6)をコピー ├ teubner ← (4)をコピー 新規にパッケージをインストールする場合はtexmf-local以下のディレクトリ に格納します。デフォルトで入っているものはtexmf(teTeX3の場合はtexmf- dist)に格納されています。 Babel本体のインストールについてはBabel添付のマニュアルをご覧下さい。 基本的には babel.ins コマンド等でファイルを生成させ、生成したファイル 群を /texmf-local/tex/generic/babel に移動します。 2-3-1. キリル文字用 lhフォントソースファイルの作成(Win32版のみ) lhフォントが適切に解凍されていれば、以下のようなツリーになっている はずです。 ├ source : ├ lh* ├ doc ├ mf └ tex └ wrk ここで、"tex"ディレクトリにある "setter.tex" ファイルをメモ帳などで 開き、25行目の記述 "\MakeFileHeadsfalse" を "\MakeFileHeadstrue" に 変更し、[ファイル(F)] → [上書き保存(S)] を実行します。 保存したら、MS-DOSプロンプト(Windows2000/XPではコマンドプロンプト) を起動し、 C:\> cd usr\local\share\texmf\fonts\source\lh\tex ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ C:\usr\local\share\texmf\fonts\source\lh\tex> tex 99allenc.tex ^^^^^^^^^^^^^^^^ と打ち込みます( が自分で入力する箇所)。 ^^^ そうすると"wrk"ディレクトリにlarm1000などのフォントソースファイル(結 構たくさんあります)が生成します。wrkディレクトリを開き、[編集(E)] → [すべてを選択(S)]ドラッグ&ドロップで全ファイルをlhディレクトリに移動 します。 UNIX系OS(Mac環境含む)ではこの作業は不要です。 3. 多言語環境構築の準備 3-1. pLaTeX & PLaTeX 添付ファイルのリネーム 現在の pTeX では独自に hyphen.cfg を持っていますが、これがあると通常 のハイフネーションファイルが使用できません。/texmf/ptex/platex/config の中にある hyphen.cfg を 0hyphen.cfg などとリネームします。 teTeX-2.0系ではさらに /texmf/tex/platex/config(ポーランド語 PLaTeX 用のファイル)にある hyphen.cfg 、language.dat も同様に0hyphen.cfg 、 0language.dat 等にリネームします。 (日本語 pTeX が誤ってポーランド語用ファイルを読み込んでしまうため) 3-2. fmtutil.cnfの編集(UNIX、Macのみ) UNIX系のTeXシステムでは fmtutil.cnf にpTeX用の記述が存在しないことが 多いようです。/texmf/Web2cディレクトリにある上記ファイルに以下の記述を 加え、保存します。 # Japanese pTeX: ptex ptex - ptex.ini platex ptex language.dat platex.ini platex209 ptex language.dat plplain.ini 3-3. language.datファイルの編集 /texmf(-dist)/tex/generic/configにある language.dat を /texmf-local /tex/generic/config にコピーし、使いたい言語のコメントを外します。 teTeX-3ではすべての言語が ON になっているので、逆に使わない言語(ない しエラーの出る言語)をコメントアウトし、保存します。 そして LaTeX用、pLaTeX用 のフォーマットファイルを作ります。 端末 (Windowsでは "MS-DOS プロンプト" ないし "コマンドプロンプト")で それぞれ fmtutil --byfmt latex (印欧語のみ) fmtutil --byfmt platex (日本語混在環境) と打ち込みリターンを押します。 /texmf/web2c(teTeX-3では $HOME/.texmf-var/web2c)に latex.fmt ないし platex.fmt というファイルが作成され、各言語のハイフネーション処理が 可能になります。 現在一部の言語でデフォルトではハイフネーションファイルがうまく処理 されないという問題があります。エラーが出て処理が停まってしまう場合は 4.項以下を参照下さい。 3-3-1. ギリシャ語に関するオプション 古典ギリシャ語と現代ギリシャ語(monotonicとpolutonic)ではいくつかの 単語でハイフネーション規則が異なっています。より正確なハイフネーション を必要とされる方は language.dat に以下の記述を加えます。 %greek grhyph.tex <デフォルトのもの、コメントアウトする greek GRAhyph.tex <古典ギリシャ語用 (polutonic) greek GRMhyph.tex <現代ギリシャ語用 (monotonic) greek GRPhyph.tex <現代ギリシャ語用 (polutonic) 上記3つのうちのどれか一つのみを指定して下さい。複数のハイフネーション を同時に使用するには稲垣さん考案の "agreek" を使います。 http://www2.tba.t-com.ne.jp/ing/#babel 3-3-2. ロシア語・ウクライナ語に関する補記 日本語とキリル文字系言語を混在させる場合は、フォントエンコーディング に OT2 を使います。ロシア語とウクライナ語については OT2 と T2A で処理 が異なり、またデフォルトでは T2A 用となっているためこれを OT2 用に直し ます。 ・ウクライナ語の場合 language.dat で ukrhyph.tex を含む行をコメントアウトし、ukrhyph.ot2 を 含む行のコメントを外します。 - language.dat の記述 - %ukrainian ukrhyph.tex (<コメントアウトする) %! ukrainian ukrhyph.t2a %! ukrainian ukrhyph.lcy ukrainian ukrhyph.ot2 (<コメント"%"を外す) ・ロシア語の場合 /usr/local/teTeX/share/texmf(-dist)/tex/generic/ruhyphen にある ruhyphen.texを編集し、以下のように修正します。 - ruhyphen.tex の記述 - \ifx\Encoding\undefined %\def\Encoding{t2a} (<コメントアウトする) %\def\Encoding{ucy} %\def\Encoding{lcy} \def\Encoding{ot2} (<コメント"%"を外す) %\def\Encoding{koi} \fi ギリシャ語、ロシア語、ウクライナ語を使用する場合はこれらの処置を行った あとで fmtutil コマンドを再度実行します。 ロシア語とウクライナ語については、環境によっては fmtutil でエラーとなる 場合があります。詳細は 4. 現在バージョンでの問題点(バグ)をご覧下さい。 3-4. TeXファイルの作成 日本語環境で Babel を使用する場合は、プリアンブルに \usepackage[russian,german,french,english]{babel} \usepackage[OT2,T1]{fontenc} などと記述します。8ビット系言語(ギリシャ語などを除く)を使用する場合 は T1 を、キリル文字系言語を使用する場合は OT2 を必ず指定します。 (印欧語のみの環境では T2 エンコーディングも使えます) ギリシャ語エンコード(LGR)はプリアンブルで指定する必要はありません。 複数の言語を切り替える場合は \selectlanguage ないし \foreignlanguage コマンドを使います。 なお、古典ギリシャ語を使用する場合 \textgreek ではアクセント、気息記号 が正常に出力されない場合があります。必ず \foreignlanguage コマンドを 使用して下さい。 Babelに関するより詳細な使用方法については 『pTeX 3.1.4 と Babel 3.8』 (稲垣さん作成)をご覧下さい。 http://www2.tba.t-com.ne.jp/ing/#babel なお『[改訂第3版] LaTeX2e美文書作成入門』付録 J章には Babel に関する 包括的な記述があります(p.333以下)。 ・付録J章サポートページ(永田さん) http://www.lg.fukuoka-u.ac.jp/~ynagata/bibunsho3_j_support.html 3-4-1. 古典ギリシャ語と teubner 通常 polutonic greek を使用する場合は \usepackage[polutoikogreek]{babel} でも可能ですが、古典研究を専門とするなど、より正確な出力が必要な場合は teubner(トイプナー)を使います。 \usepackage[greek]{babel} \usepackage{teubner} Babelでの指定は"greek"を使います。これで koppa などの archaic letter やギリシャ数字等が正確に出力され、また韻律記号などもサポートされるよう になります。詳細は添付マニュアルをご覧下さい。 なお、現在 greek.ldf にあるバグ(数字の誤出力)は teubner を使うことに よって回避できます。バグの詳細は http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/31769.html 3-4-2. Japaneseパッケージについて Babelでは一番最後に指定した言語(3.4.の例では英語)がデフォルトの言語 と解され、索引などのタイトルがそれに合わせて変えられてしまいます。これ だと日本語環境では不都合な場合が多いので、Japaneseパッケージによって日本 語のタイトルで出力できるようにします。 インストール方法は以下をご覧下さい(稲垣さんのサイト)。 http://www2.tba.t-com.ne.jp/ing/#japanese 使用方法は、プリアンブルに以下を指定するだけです。 \usepackage{japanese} なお、現在 Japanese パッケージは Shift_JIS コードで作成されているため、 UNIX系OSではそのままでは使えません。解凍したファイル群を nkf コマンド ないし lv で euc_jp 等に変換して使用します。 3-5. Type1フォントと PDFファイルの作成 dvipdfm(x) 等でPDFファイルを作成する場合、実用レベルの出力を行うには Type1 フォントが必要です。最新 W32TeX、teTeX-3.0では標準で Latin Modern フォントが添付されています。プリアンブルに \usepackage{lmodern} と指定するだけでラテン文字 Type1 フォントを使用することができます。 Latin Modern フォントがインストールされていない場合は CTAN から入手 します。 ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/fonts/lm/ 3-5-1. ギリシャ語と Type1 フォント ギリシャ語を使用する場合は cbgreek Type1 フォントが提供されています (CTANからダウンロード・ただし 2-2.(2)で DL 済の場合は不要)。 ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/fonts/greek/cb/type1.tar.gz 適当なディレクトリに展開し、 └ texmf-local ├ map │ ├ dvips ├ ├cbgreek ← cbgreek.map をコピー : ├ fonts : ├ : ├ type1 ├ ├cbgreek ← *.pfb をコピー その後 /texmf/web2c(teTeX3では $HOME/.texmf-local/web2c)の中にある updmap.cfg を編集します。 Map cbgreek.map という一行を追加し保存、端末(コマンドプロンプト)で updmap と打ち込み リターンを押します。ギリシャ語に限らず、新しいType1フォントを使用する 場合は同様の作業が必要です。 3-5-2. キリル文字系諸言語と Type1 フォント 現在 OT2 エンコーディングで使用することのできるキリル文字用の Type1 フォントは残念ながら存在しないようです。代替措置については永田さんの 方法(『新 pTeX とBabel』以下の記述)があります。 http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texwiki/?%E6%96%B0%20pTeX%20%E3%81%A8Babel#content_1_11 印欧語のみの環境(T2Aなど)では cm-super のキリル文字用フォントが使用 可能です。 ftp://ftp.ring.gr.jp/pub/text/CTAN/fonts/ps-type1/cm-super/ なお、Unicodeを使った日本語とキリル文字系言語の混在環境については以下 のページをご覧下さい。T2A が使用できること、CJKV との共存が実現できる こと等の利点があるようです。ただ UNIX(FreeBSD)での評価のためWindows 環境で使用するには cygwin 等を導入する必要があるかも知れません。 ・CJK, UNICODE パッケージ,ロシア語多書体の利用(安田さん) http://www.ceres.dti.ne.jp/~i-yasuda/tex/cjk.html 4. 現在バージョンでの問題点(バグ) 現時点ではいくつかの言語がデフォルトではエラーとなってしまいます。 エラーとなる言語の一覧と解決策を以下に記します。 4-1. エラーの一覧と種類 エラーには fmtutil コマンドを使用するときにハイフネーションファイル がエラーになる場合、各言語を使用したTeXファイルを作成したときにエラー となる場合(*.ldfのエラー)の二つがあります。以下に一覧を掲げます。 言語 ファイル名 W32TeX teTeX-2/3 (sjis) (euc) ハンガリー語 huhyph.tex pl ok トルコ語 trhyph.tex pl pl ウクライナ語 ukrhyphmp.tex pl pl ブルガリア語 bghyphsi.tex ok pl ロシア語 ruhyphal.tex他 ok NG チェコ語 czhyph.tex ok 2e 高地ソルブ語 usorbian.ldf ld ld アイスランド語 iclandic.ldf ld ld 凡例:ok...問題なし pl...8bt2ptex.plを適用 2e...czhyph2e.plを適用 ld...ldfファイルを編集 NG...現在解決方法なし 実際は Windows と UNIX の違いではなく platex-sjis と platex-euc の処理 の違いに因るもののようです。Windows で euc を使う場合、UNIX で sjis を 使う場合は逆になります。 4-2. ハイフネーションファイルエラーの解決策(8bt2ptex.plによる) 4-2-1. ハンガリー語(Winのみ)・トルコ語(共通) ハイフネーションファイルのエラーについては 8bt2ptex.pl を使用します (トノさん作成)。以下から入手します。 http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/33496.html #!perl からページの下までをすべて選択、エディタ等にコピー&ペーストし 8bt2ptex.pl という名前で保存します。処理するハイフネーションファイル を同じディレクトリに置き、端末(コマンドプロンプト)で perl 8bt2ptex.pl huhyph.tex > huhyph-p.tex perl 8bt2ptex.pl trhyph.tex > trhyph-p.tex を実行します。 できたファイルを /texmf-local/tex/generic/hyphen 以下に置き、さらに language.datを編集、先に作ったファイル名を指定します。 -- language.dat の内容 -- %magyar huhyph.tex <コメントアウトする magyar huhyph-p.tex <新たに追加 %turkish trhyph.tex <コメントアウトする turkish trhyph-p.tex <新たに追加 なお、実行には perl が必要です。UNIX系OSではデフォルトで存在することが 多いようですが Windows では新たに入手する必要があります。また Windows 環境で、かつ pTeX のバージョンが p3.1.4 である場合のみ -c オプションを 使用します(詳細は付属ドキュメントを参照して下さい)。 4-2-2. ウクライナ語(共通)・ブルガリア語(UNIXのみ) この2言語は別なハイフネーションファイルから呼び出すものに処理が必要 です。perl による処理は同じですが、その後オリジナルのファイルをリネー ムしたあと、作成したファイルをもとの名前に戻し、もとの場所に格納します。 language.datを変更する必要はありません。 perl 8bt2ptex.pl ukrhyphmp.tex > ukrhyphmp-p.tex perl 8bt2ptex.pl bghyphsi.tex > bghyphsi-p.tex この後もとのファイル、できたファイルの名前を ren コマンド(Win)または mv コマンド(UNIX)で変更します。 (例) ren ukrhyphmp.tex ukrhyphmp-orig.tex (Windows) mv ukrhyphmp.tex ukrhyphmp-orig.tex (UNIX) (エクスプローラやファイルマネージャでも変更できます) なおウクライナ語については ukrhyph.tex の以下の記述がエラーとなる場合 があります。当該箇所をコメントアウトします(現在は51行目)。 %\patterns{ c8h d8j k8h l8j n8j s8h s8h8c8h t8s x8q y8a y8u z8h } 4-2-3. チェコ語(UNIXのみ) チェコ語ではデフォルトで CTAN に perlスクリプトが用意されています。 以下をダウンロードし、同様に perl 処理をします。 http://ring.aist.go.jp/archives/text/CTAN/language/czech/ czhyph2e.pl perl czhyph2e.pl czhyph.tex > czhyph2e.tex 4-2-4. ロシア語のエラーについて(UNIXのみ) 現在 platex-euc 版で出現するロシア語ハイフネーションのエラーについて は解決方法がわかっていません。ruhyphen.tex から呼び出す ruhyphal.tex、 cyryoal.tex などがフォーマットファイル作成時に引っかかるようです。 もしUNIX系 OS で問題なく動く(ないしは処置方法がわかる)方がいらっしゃ いましたらご教授頂ければ幸いです。 4-3. ldfファイルの編集(高地ソルブ語・アイスランド語) 高地ソルブ語については usorbian.ldf で以下の行をコメントアウトします (最新版 ver.1.0iでは94-95行目)。 %\addto\extrasusorbian{\babel@savevariable{\lccode`\^^Y}% % \lccode`\^^Y`\^^Y} アイスランド語については環境によって出方が異なっているようです。 \DeclareTextCommand{\ooob}以下のいくつか(ver.1.1g で144行目以下)が 引っかかる場合、以下の1行のみ(同160行目)が引っかかる場合などです。 \newcommand{\decimalsep}{.} \newcommand{\thousandsep}{\@comma@} 当該箇所をコメントアウトします(個別に対応)。 4-5. 終わりに 現在わかっているエラーは上記の通りですが、他にエラーと思われる現象が ある場合は私宛メール(QZB01347@nifty.com)か TeX Q & A 掲示板でご報告 頂ければ幸いです。 http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/texfaq/qa/ A. 追加 A-1. Omega(CJK)、ArabTeX、その他 Omega-CJK(日中韓)パッケージ、ArabTeX、HebTeXなど、ここで触れられて いない諸言語、または個別の言語についてのより詳しい情報については以下の ページがあります。 ・日本語LaTeXによる多言語処理 (稲垣さん・TeXを使った多言語処理に関する総合サイト、BabelとArabTeX の共存方法、アジア系諸言語の出力例あり) http://www2.tba.t-com.ne.jp/ing/ ・LaTeX によるドイツ語・日本語処理 (永田さん・ドイツ語を中心とした多言語処理ノウハウを詳述、ヘブライ語 の出力例あり) http://www.lg.fukuoka-u.ac.jp/~ynagata/latex.html ・TeX & ArabTeX(高階さん) http://www.osaka-gaidai.ac.jp/~mes/multi/multi_02.html ・スラヴ研究者向け LaTeX 多言語環境の構築 (安田さん・スラヴ関係がメインですが ArabTeX を使ったヘブライ語使用の ための記述もあり。なお 3-5-2.参照) http://www.ceres.dti.ne.jp/~i-yasuda/tex/texinst2.html ・CGreekプロジェクト (電総研高橋さん・水落さん・Emacs & MeadowとIbycus4(TeX) を使った古典 ギリシャ語環境、TLGに対応) http://www.m17n.org/cgreek/index.ja.html ・vnTeX(ベトナム語TeX)ホームページ http://vntex.sourceforge.net/index.php?lang=en また Unicode で多言語を実現する Omega-J(lambdaj) パッケージを使う場合は、 ・UTF/OTFパッケージ(齋藤修三郎さん) http://psitau.at.infoseek.co.jp/index.html ・Omega-CJK(Choさん・日中韓の混在環境) http://hep-ph.konkuk.ac.kr/ChoF/ ・Omegaと日本語(鈴木さん) http://sat.t.u-tokyo.ac.jp/~hideyuki/omega/index-j.html ・Omega-J公式ページ(同) http://www.havenrock.com/archives/classic/docproc/nihongo/omega-j/ 角藤さんの公式ページにOmega-J(lambdaj)のパッケージ & 解説があります。 http://www.fsci.fuk.kindai.ac.jp/kakuto/win32-ptex/web2c75.html B. 謝辞など 本稿第1版では福岡大学人文学部ドイツ語学科の永田先生、現三重大学の 奥村先生に多くのご指導をいただきました。第2版では、TeX Q & A にて奥村 先生を始め角藤先生、パロアルトさん、大石さん、トニイ(刀祢)さん、大友 さん、大島先生(順不同)からたくさんの有益なアドバイスを頂きました。 第3版では多言語関係で稲垣さんから、perlスクリプト関係ではトノさんから、 teTeX-3については土村さん、角藤先生から数多くご教授いただきました。 この場を借りて御礼申し上げます。 ----------------------------------------------------------------------- 北海道大学大学院文学研究科思想文化学専攻 栗山雅俊 E-mail:QZB01347@nifty.com kuriyama@let.hokudai.ac.jp(休止中)
この書き込みへの返事: