名前: 永田善久 日時: 2002-10-28 16:16:31 IPアドレス: 133.100.243.*
00. 「日本語 TeX 情報ページ」新着情報 [021025] CTAN:fonts/brokent1 に関する投稿です。興味のある方は,参考になさってください。 0. brokent1 パッケージとは 「ドイツ活字体(ドイツ旧字体)」--- フラクトゥア体・シュヴァー バッハ体ゴシック体(あるいはテクストゥーラ体)等の総称 ---を 現すドイツ語 gebrochene Schriften の直訳英語 broken letters から採られているものと思われます。t1 は T1 フォントエンコーデ ィングを指します。 brokent1 パッケージは,すでに存在している yfrak, yswab, ygoth をベースとした,T1 エンコーディングのヴァーチャルフォントを 提供します。brokent1 パッケージは,しかしながら,\usepackage では「読み込みません」。詳しい使用法はドキュメントを参照して ください。 1. 手動でのインストール 1-1. brokent1.zip(あるいは broken.tar.gz)をフォルダ $TEXMFMAIN/tex/latex/brokent1/ 等へ解凍(展開) 1-2. *.tfm, *.vf をそれぞれ,例えば $TEXMFMAIN/fonts/tfm/brokent1/ $TEXMFMAIN/fonts/vf/brokent1/ 内へ移動 1-3.$TEXMFMAIN/tex/latex/brokent1/ フォルダ内にある brokent1.dtx を latex brokent1.dtx としてやるとドキュメントが生成されます。 # brokent1.dtx の 74 行目にある \OnlyDescription という部分を # % でコメントすると「詳細なドキュメント」が得られます。 # ただし,その際は,17行目にあるチェックサムの値を 5465--->5464 # に変更しておきます。 2. yfonts パッケージと比べた場合の brokent1 パッケージの 2-1. メリット 2-1-1. 語末の s を「自動処理」してくれる。 2-1-2. T1 エンコーディングにある大抵のアクセント文字を出力できる 従って,例えば特に,ドイツ語関係では「大文字ウムラウト(二個点々式)」 も出力できる(yfonts に大文字ウムラウトは存在しない)。 # tex testfont.tex --> tfrak (tswab, tgoth) --> \table, \bye # で,使用可能な文字一覧を確認できます。 2-1-3. \emph{...} のデフォルトが「隔字体」となっている。 \textbf{...} でゴシック体が,\textsl{...} でシュヴァーバッハ体が それぞれ出力されるようになっている。 2-2. デメリット 2-2-1. 「小添字 e 式ウムラウト」がサポートされていない # 本格的な Fraktur 組版を欲する場合,これば一番のデメリット 2-2--2. イニシャル体もサポートされていない(ただし,yfonts と一緒に用いれば可) 3. 結論(私見) 「今までラテン字アルファベット出力を前提して書いていたソース に(ほとんど)手を入れることなく,簡便にドイツ活字体を出力して みたい」という場合に便利なパッケージであると思います。 なお,本田さんが作成された s-yfonts というパッケージでは,上記 のデメリット 2-1-1 がフィックスされています。 4. テスト用ソース yfonts と比較できるようにしてあります。 \renewcommand{\rmdefault}{yfrak} という行と %%\usepackage{yfonts} %%\frakfamily という箇所とを交互に「コメントしたり外したり」してみてください。 --------------- \documentclass[a4paper]{article} \usepackage[T1]{fontenc} \usepackage[english,french,german]{babel} \renewcommand{\rmdefault}{yfrak} % この行と,%% 行をそれぞれ使い分けてみてください %%\usepackage{yfonts} \begin{document} %%\frakfamily \selectlanguage{english} \section{Snow White} Once upon a time, in the middle of winter, when snowflakes were falling like feathers from the sky, a queen was sitting and sewing at a window with a black ebony frame. \selectlanguage{french} \section{Blancheneige} Un jour, c'\'etait au beau milieu de l'hiver et les flocons de neige tombaient du ciel comme du duvet, une reine \'etait assise aupr\`es d'une fen\^etre encadr\'ee d'\'eb\`ene noir, et cousait. \selectlanguage{german} \section{Sneewittchen} Es war einmal mitten im Winter, und die Schneeflocken fielen wie Federn vom Himmel herab, da sa"s eine K"onigin an einem Fenster, das einen Rahmen von schwarzem Ebenholz hatte, und n"ahte. \section{Font Test} "a "A "o "O "u " U "s \\ % yfonts ではおかしな大文字ウムラウト austragen vs. aus"|tragen % st のリガチャ有り/なし \end{document}
この書き込みへの返事: