モルトかブレンドか

柏野雄太氏のブログに紹介されていた Stephen D Chadwick and Hugh A F Dudley, "Can malt whisky be discriminated from blended whisky? The proof. A modification of Sir Ronald Fisher's hypothetical tea tasting experiment", British Medical Journal, Vol 287, No 6409, pp.1912-1913 を調べてみた。

8人の被験者(著者たちの同僚)を,ウイスキーをよく飲む群4人と,そうでない群4人とに分けて,目隠しをして,モルトウイスキー3種とブレンドウイスキー3種を各6回ずつ順不同に飲んでもらう。各群で4×6×6=144回の結果を表にしたところ,次のようになった。

よく飲む群

モルトブレンドわからない
全回答57843
正解3648

あまり飲まない群

モルトブレンドわからない
全回答64791
正解3240

「わからない」(Don't know)という答えを原論文では誤答と扱っているが,以下では計算から外すことにする。

よく飲む群

実際\回答モルトブレンド
モルト3636
ブレンド2148

あまり飲まない群

実際\回答モルトブレンド
モルト3239
ブレンド3240

あまり飲まない群は明らかに差がないが,よく飲む群は微妙。Rで計算すると次のようになる。

> fisher.test(matrix(c(36,21,36,48),nrow=2))

	Fisher's Exact Test for Count Data

data:  matrix(c(36, 21, 36, 48), nrow = 2) 
p-value = 0.02535
alternative hypothesis: true odds ratio is not equal to 1 
95 percent confidence interval:
 1.086013 4.843828 
sample estimates:
odds ratio 
  2.272047 

p = 0.02535 で,5%水準で有意ということになる。

「わからない」を誤答に直して計算すれば,p = 0.06257 となり,5%水準では有意でなくなる。ただし,よく考えないとおかしいことになる。柏野雄太氏のブログでも「あまり飲まない群」でモルトが71杯,ブレンドが73杯あったことになってしまっている(実際はどちらも72杯)。


奥村晴彦

Last modified: 2009-08-09 19:40:11