文科省の学校保健統計調査は,幼稚園(および認定こども園)・小・中・高校に在籍する5〜17歳(4月1日現在)の子どもについて毎年行われる抽出調査である。
2018年度の調査によれば「アトピー性皮膚炎にかかる子どもは平成18年度以降、幼稚園でその割合が最も少なくなった」(スキンケアが大切 アトピー性皮膚炎の子ども 幼稚園は最少に)。これは「乳幼児への「スキンケア」の重要性が浸透してきたことの表れ」だという。
この様子をグラフにしてみよう。
e-Statの学校保健統計調査の「年次統計」に「学校種別 疾病・異常被患率等の推移(昭和23年度~平成30年度)」がある。「EXCEL」をクリックすると「h30_hoken_nenzi_06.xlsx」というファイルが得られる。これは見栄え重視のExcel表であるため,整形が必要である。一方,「DB」をクリックすると,平成27年度(2015年度)までのデータしか得られない。ここではExcelファイルのほうを使うことにする。
x1 = na.omit(read_excel("h30_hoken_nenzi_06.xlsx", sheet=1, range="AG81:AG95", col_names=FALSE)[[1]])
x2 = na.omit(read_excel("h30_hoken_nenzi_06.xlsx", sheet=2, range="AH81:AH95", col_names=FALSE)[[1]])
x3 = na.omit(read_excel("h30_hoken_nenzi_06.xlsx", sheet=3, range="AI81:AI95", col_names=FALSE)[[1]])
x4 = na.omit(read_excel("h30_hoken_nenzi_06.xlsx", sheet=4, range="AH81:AH95", col_names=FALSE)[[1]])
y = 2006:2018
matplot(y, cbind(x1,x2,x3,x4), type="b", pch=c("幼","小","中","高"), col="black",
xlab="年度", ylab="アトピー性皮膚炎 (%)")
確かに幼稚園児のアトピー性皮膚炎はどんどん減少しているが,小中高校ではそのような傾向は見られない。
e-Statの学校保健統計調査に戻って,「平成30年度(速報)」の「全国表」をクリックし,「年齢別 疾病・異常被患率等」のExcelファイルをダウンロードする。「h30_hoken_tokei_02.xlsx」というファイルが得られる。
a1 = read_excel("h30_hoken_tokei_02.xlsx", range="AO28:AO43", col_names=FALSE, col_types="numeric")[[1]][c(1,3:8,10:12,14:16)]
a2 = read_excel("h30_hoken_tokei_02.xlsx", range="AO45:AO60", col_names=FALSE, col_types="numeric")[[1]][c(1,3:8,10:12,14:16)]
matplot(5:17, cbind(a1,a2), type="b", pch=c("男","女"), col="black",
xlab="年齢", ylab="アトピー性皮膚炎 (%)")
小学校で急に増えていることがわかる。どうしてか。
5歳児は幼稚園(または認定こども園)に通っている児童だけしか調べていないので,保育園児なども含めれば,アトピー性皮膚炎はもっと多いという可能性もある。ただ,国民生活基礎調査の3年ごとの健康票の通院者率・年齢5歳階級のデータを調べてくださったかたによれば,傾向は同じだという(すみません自分ではチェックしていません)。やはり小学校に上がると何らかの理由で増えるのであろうか。