ランダムに変動する量 $X$ を考える。その期待値を $E(X)$ とし,$X/E(X) = 1 + x$ と書く。明らかに $E(x) = 0$ である。同様に $Y/E(Y) = 1 + y$ も考える。これらの積の期待値は
\[ E((1+x)(1+y)) = E(1 + x + y + xy) = 1 + E(xy) \]である。また,$(1+x)(1+y)$ の分散は
\[ \begin{align} E(((1+x)(1+y) - E((1+x)(1+y)))^2) &= E(((1+x)(1+y) - (1+E(xy)))^2) \\ &= E((x+y+xy-E(xy))^2) \\ &= E(x^2+y^2+x^2y^2+(E(xy))^2+2xy+2x^2y+2xy^2-2xyE(xy)) \end{align} \]であるが,微小量 $x$, $y$ の2次の項まで残すと
\[ E(x^2+y^2+2xy) = E(x^2) + E(y^2) + 2E(xy) \]だけになる。
\[ E(x^2) = E((X-E(X))^2)/(E(X))^2 \]は $X$ の分散を $X$ の期待値の2乗で割ったものである。
\[ E(xy) = E((X-E(X))(Y-E(Y)))/(E(X)E(Y)) \]は $X$, $Y$ の共分散を $X$, $Y$ の期待値の積で割ったものである。
まとめると,相対値の積 $(X/E(X))(Y/E(Y))$ の誤差分散は,$X$ の分散を $(E(X))^2$ で割ったものと,$Y$ の分散を $(E(Y))^2$ で割ったものと,$X$, $Y$ の共分散の2倍を $E(X)E(Y)$ で割ったものの和である。