Numba

Numba(ナンバ)はPythonのJIT(Just In Time)コンパイラです。簡単にいえば,Pythonの自前の関数を高速にする仕組みです。以下は M1 Mac mini 上の Python 3.12.4、NumPy 2.0.0、Numba 0.60.0 で実行しました。

使い方は、pip install numba して、from numba import jit して、高速化が必要な関数定義の前に @jit(Numba 0.59以前では @jit(nopython=True))を付けるだけです(具体的には以下で説明します)。

速さ比べのため,まずは100万個の乱数を用意します:

import numpy as np

rng = np.random.default_rng(12345)
a = rng.random(1000000)

これをPython標準の sum() 関数を使って合計するのに要する時間を計測します:

%timeit sum(a)

結果:

39.1 ms ± 8.28 μs per loop (mean ± std. dev. of 7 runs, 10 loops each)

次は,自前の関数を作って,時間を計測します:

def sum1(a):
    s = 0
    for x in a:
        s += x
    return s

%timeit sum1(a)

結果:

45.8 ms ± 517 μs per loop (mean ± std. dev. of 7 runs, 10 loops each)

次はNumbaを使ってみましょう。pip install numba などとしてインストールしてから,次を実行します(今は nopython=True がデフォルトなので @jit だけでいいのですが、Google Colabなどで古いバージョンが入っているかもしれないので):

from numba import jit

@jit(nopython=True)
def sum2(a):
    s = 0
    for x in a:
        s += x
    return s

%timeit sum2(a)

最初はコンパイルのために遅くなるかもしれないので、もう一度:

%timeit sum2(a)

結果:

962 μs ± 26.4 μs per loop (mean ± std. dev. of 7 runs, 1,000 loops each)

約1ミリ秒です。数十倍速くなりました。最後にNumPyの np.sum() も試します:

%timeit np.sum(a)

結果:

198 μs ± 196 ns per loop (mean ± std. dev. of 7 runs, 1,000 loops each)

Numbaで高速化したものよりさらに高速です。

つまり,ループを含むようなPythonのコードはたいていNumbaで高速化できますが,同じ機能のNumPy関数があるなら,そちらを使いましょう。

NumbaでPythonのどんなコードでもコンパイルできるわけではありません。NumbaNotImplementedError が出ない範囲で、ループなど高速化に役立つ部分だけを切り分けて @jit を付けます。