長い間更新をさぼっていましたが、 MuPAD 2.0 が出ています。
Scientific WorkPlace にも Maple V と並んで MuPAD が採用されています。
次のように行います。
mkdir /usr/local/MuPAD cd /usr/local/MuPAD tar xvzf ...../bin_linux_200.tgz tar xvzf ...../share_200.tgz
/usr/local/MuPAD/share/bin にパスを通します。 具体的には bash なら ~/.bashrc の最後に次のように書きます。
export PATH=$PATH:/usr/local/MuPAD/share/bin
mupad と打ち込んで MuPAD を起動し、メールで送られてきた内容を打ち込みます。
register("Haruhiko Okumura", "XXXXX-XXXXXX-XXXXX");
暇があったら続きを書きます。 以下はやや古い内容です(plotfunc は plotfunc3d と書かなければなりません)。
MuPAD は Mathematica や Maple に似た数学ソフトです。 数式のままの計算,任意の精度の多倍長計算,グラフィック処理ができます。 もちろん TeX 形式の数式出力もできます。
完全なフリーソフトではありませんが,教育機関は無料で使えます。 Windows 版もありますが,教育機関でフリーなのは lite 版だけです。
これを書いている時点での最新版は 1.4.2 です。 日本では 愛媛大 などがミラーをしています。 Linux(glibc2)では bin_linux_142.tgz と share_142.tgz をいただいてきて,適当なディレクトリ(たとえば /usr/local/MuPAD) を作ってその中で両者を展開します。
この中の share/bin/mupad または share/bin/xmupad を実行します(/usr/local/MuPAD/share/bin にパスを通しておくと便利です)。xmupad は X Window 版で,XView のシェアードライブラリが必要です (MuPAD の配布場所の XVIEW ディレクトリにも置いてあります)。
教育機関関係者でも,ちゃんと使うには登録が必要です。 ftp で取ってきた場合は ここ で登録し,メールで送られてくるキーを入力すると,メモリの制約が外れます。
私は xmupad ではなく kterm の中で mupad を使う方が便利に感じました。 この方がコマンドラインの編集も簡単です。 mupad で起動します。<< のプロンプトに対して quit; と入力すると終わります。 ただ,描画コマンドについては,結果がカレントディレクトリの save.mp というファイルに独自形式で入るだけですので,mupad の外から
vcam save.mpあるいは mupad の << プロンプトで
!vcam save.mpと打ち込んで画面表示します(! はシェル /bin/sh 起動の意味です)。 VCam のメニューから PostScript 形式などで保存することもできます (昔256色で Netscape Communicator を起動していると「色が足りない」という警告がたくさん出ました)。
試しにベッセル関数をプロットしてみましょう。
plotfunc(5 * besselJ(0, sqrt(x^2 + y^2)), x = -20..20, y = -20..20 ); !vcam save.mp
VCam で表示するとワイヤフレームのように現れますが, 設定の窓から Color を Height に,Style を ColorPatches にして Plot ボタンを押すと,みごとな3次元グラフができます。 Save メニューから PostScript や GIF で保存できます。
もっと簡単な例としては次のようなものがあります。
plotfunc(sin(x), x=0..4*PI); plotfunc(sin(x), cos(x), x=0..4*PI);
次はベクトル場の例です。
plotlib::fieldplot(Axes=Origin, Ticks=0, [[-y^2,x^2], x=[-4,4], y=[-4,4], Grid=[15,15], Color=[Height]]);
数式処理の例です。
int(1/(x^2 - 8), x);
つまり 1/(x^2 - 8) の不定積分を求めます。結果は次のようになります。
1/2 1/2 1/2 1/2 2 ln(x - 2 2 ) 2 ln(x + 2 2 ) ------------------- - ------------------- 8 8
これを TeX 形式にしてファイル foo.tex に書き出します。% は直前の式という意味です。
fprint(Unquoted,Text,"foo.tex",generate::TeX(%));
ファイルに \frac{\sqrt{2} \mbox{ln}\left(x - 2 \sqrt{2}\right)}{8} - \frac{\sqrt{2} \mbox{ln}\left(x + 2 \sqrt{2}\right)}{8} のように書き出されます。 ちなみに \mbox{ln} は \ln と書き直す方がよいでしょう。 少なくとも \sqrt{2} と \mbox の間に \, くらい入れるとバランスが良くなります。
ちなみに MuPAD は HyTeX という一種のハイパー TeX ブラウザでオンラインマニュアルが読めるようになっています。 これらのマニュアルは dvi 形式で share/doc/hytex に入っています。 このディレクトリに入ってたとえば hypage demo と打ち込むと demo.dvi がブラウズできます。 dvi に埋め込まれた special コマンドで GIF 表示などを行っていますので, 通常の xdvi や dvips ではグラフィックが表示できません。
リンクはご自由にどうぞ。
松阪大学 奥村晴彦 okumura@matsusaka-u.ac.jp
Last modified: Tue Jul 31 16:37:36 JST 2001