疑似?擬似?

学習指導要領+解説には見当たりませんが、文科省(少なくとも高校「情報」の検定)は「擬似」で統一させているという情報をいただきました(擬似相関、擬似言語、擬似コードなど)。

JISでは、JIS X 0002「情報処理用語(算術演算及び論理演算)」には「擬似乱数列」、JIS X 0007「情報処理用語-プログラミング」には「擬似コード」という用語が載っていますが、JIS Z 9031「乱数生成及びランダム化の手順」では「疑似乱数」になっています。X系(情報処理)とZ系(その他)で違うのでしょうか。

IPAの情報処理技術者試験で出題されるのは「擬似言語」です。

いずれにしても、どちらが正しいということはないので、当サイトではどちらも使っています(変換で先に出たもの優先 ^^;)。

ちなみに、漢語としては「疑似」が正しく、「擬似」は日本で作られた語のようです(漢字文化資料館: 「擬似」と「疑似」の違いはありますか?)。『漢辞海 第3版』では「擬似」は つまり日本での用法となっています。小学館『中日・日中辞典 第3版』には 疑似 [yísì] はあるけれども 擬似 (拟似) [nǐsì] は見当たりません。でもネットで検索したら 拟似变量 などというページがありました。中国語のWiktionaryでは 疑似擬似 はどちらも日语(日本語)となっています。うーん、ややこしい。要するに漢語としては「疑似」で、「擬似」は日本で作られた、でも現代中国では日本から逆輸入された「疑似」、「擬似(拟似)」を学術用語として使っている、ということのように思えます。このあたりの事情は、いろいろなLLMに聞いても、決定的な情報は得られませんでした。何かご存じでしたらお教えください。

[2025-04-13追記] 第5期国語審議会語形の「ゆれ」について(報告)というものが昭和36年(1961年)に出されていて、「次に掲げる語なども,かっこの中のように書かれることがあるが,これらは今日ではまだ誤りとみなすべきであろう」として、「疑似(擬似)」が挙げられていることを教えていただきました。つまり、1961年時点では「擬似」は誤りと捉えられていたことになります。

[2025-04-13追記] 宋代の『易原』という本(18世紀の『四庫全書』に収められた『易原』の影印本)に「擬似」という言葉が使われていることを教えていただきました