加法混色と減法混色

問:R(赤)・G(緑)・B(青)を混ぜると、(ほぼ)白になります。では、同じ条件で、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(黄)を混ぜると、どんな色になるでしょうか?

— Haruhiko Okumura (@h_okumura) January 13, 2025

よくある誤解に、RGB(赤・緑・青)は混ぜると加法混色になって白になり、CMY(シアン・マゼンタ・イエロー)は混ぜると減法混色になって黒になる、というのがあります。

そんなことはありません。光を混ぜると加法混色に、絵の具や印刷インクを混ぜると減法混色になるのです。混ぜる色には関係しません。

具体的には、CMYの光を混ぜると加法混色で白に、RGBの印刷インクを混ぜると減法混色で黒っぽい色になります。

これは実際にCMYの投影機やRGBの絵の具を使って試してみるといいのですが、次のように考えても納得できると思います。光を (r, g, b) という3成分のベクトルだと考えると、C = G + B = (0, 1, 1)、M = R + B = (1, 0, 1)、Y = R + G = (1, 1, 0) ですので、C + M + Y = (2, 2, 2) つまり明るい白になります。一方、RGBの絵の具を混ぜると、Rの絵の具はGとBを遮断し、Gの絵の具はRとBを遮断し、Bの絵の具はRとGを遮断するので、混ぜるとRもGもBも遮断されて、黒っぽい色になります。

光の場合にRGB、印刷インクの場合にCMY(またはCMYK)を使うのは、そのほうが表せる色の範囲(色域)が広くなるためです。例えばCMYの光を混ぜて白にすることはできますが、CMYの光をどんな割合で混ぜてもRやGやBにはなりません。

印刷にはCMYに黒Kを加えた4色のインクを使うのが一般的です。これは、CMYを混ぜた黒より黒インクのほうが正確な黒になることと、黒は文字の部分に大量に使うのでインクの節約になることと、文字の部分でCMYを混ぜると色ずれが生じた場合に読みにくくなることを考えれば、納得できると思います。ちなみに、KはKuroの頭文字でもblacKの最後の文字でもなく、Key plateという英語から来ています。